肝臓がん死亡数の西高東低は汚染米と関係? 流通開始から増大。

2008/09/18 22:14 Written by コジマ

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近年、次々と明らかになっている食品偽装問題の中でも特にショッキングだったのが、米穀加工会社「三笠フーズ」(大阪市)や接着剤製造会社「浅井」(名古屋市)などによる汚染米転売問題。発がん性のあるカビ毒や残留農薬に汚染された工業用の事故米を食用と偽り転売していたもので、主食である米の偽装は日本人に計り知れない衝撃を与えている。

この汚染米は焼酎醸造メーカーや菓子製造メーカーなどに流れ、流通先の社長が公表を恐れ自殺するというショッキングな事件も起きた。また新たに、汚染米が混入したおにぎりが愛知や長野など8県のスーパー、コンビニエンスストアで販売されていたこと、京都市内の中学校47校の給食で使用されていたことなどが明らかになった。

三笠フーズによる汚染米の転売は、同社非常勤顧問の証言により10年前から行われていることが判明したが、この汚染米が流通し始めた時期と肝臓がんによる死亡数が西日本で増大し始めた時期が重なっていることを、ニュースサイト「Technobahn」が指摘している。

汚染米に混入しているカビ毒は、アラフトキシンというもの。毒性はダイオキシンの10倍以上ともいわれ、摂取するとおもに肝臓へダメージを与えるという。1974年にはインドでアラフトキシンを摂取した人々が急性中毒に陥り、肝炎によって106人が死亡する事件が起きている。

同社の汚染米転売先は、現在のところ延べ約370業者。地域別の内訳は、近畿188社、九州141社、中国地方26社、東海、北陸、関東が各5社で、西日本に集中している。

一方、国立がんセンターが公表した2005年の都道府県別肝がん死亡者数を見てみると、男女とも西日本が高い傾向にあることが分かる。また、同センターによる1958〜05年の肝がん死亡率の推移では、20年ほど前から増大している。

前出の非常勤顧問は、福岡県で個人商店を経営していた1985年ごろから、カビの生えたコメの中からきれいなものだけを選んで食用に転売しており、他の複数の業者も行っていたとも証言しているため、汚染米転売先や流通開始時期と、肝臓がん死亡率の高い地域や増加開始時期がほぼ一致することになるのだ。

同サイトは「今のところ専門家の間では、この不気味な相関関係は単なる偶然の一致とする見方が優勢だ」としつつも、「発がん性のあるアフラトキシンが含まれている汚染米を食しても問題ないのかと問われれば、例え少量であっても危険性はないとは言えないと答えざるを得ないだろう」との見解を示している。

その一方で、西日本で肝臓癌の死亡率が高いのはC型肝炎ウィルス感染率が高い傾向にあるためで、10年前の急激な死亡者数の増加は厚生労働省の肝炎死亡者の統計ルールが変わったことによるもの、との指摘もあるようだ。

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