北京五輪の野球に「タイブレーク制」導入も、直前変更なら混乱必至。

2008/07/26 16:15 Written by Narinari.com編集部

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8月8日に開幕する北京五輪まであと2週間。各競技の選手は本番を間近に控えて直前合宿を実施して最中だが、野球競技も8月2日から7日まで、神奈川県川崎市の読売ジャイアンツ球場でいよいよ直前合宿に入る。そして8月8日に野球五輪代表vs.パ・リーグ選抜、9日にセ・リーグ選抜との強化試合が組まれ、8月13日19時(日本時間20時)に1次リーグ初戦のキューバと対戦……と、来週には完全に五輪モードに突入するスケジュールだ。そんな段階に来て、今回の五輪から野球競技に「タイブレーク制」が導入される可能性が急浮上、直前でのルール変更が現実のものとなれば、現場にはかなりの混乱が予想される。

そもそも「タイブレーク制」とは何ぞや、と疑問を抱く野球ファンも多いだろう。「タイブレーク制」はソフトボールや社会人野球ではなじみ深いルール。試合の決着が付かないときに、速やかに勝敗を決めるために採用されているもので、例えばソフトボールの場合は7回を終わって同点の場合、延長に入る8回から無死二塁の状態で試合を進行させるよう定められている。社会人野球の場合は、試合時間が4時間を超えた延長13回以降に一死満塁から試合させるよう定められており、ともにより得点が生まれやすい状況を作るのが狙いだ。

国際野球連盟はこの「タイブレーク制」を国際大会に導入することを決定。北京五輪から導入する可能性を示唆しているという。国際野球連盟の公式サイトによると、今回決定した「タイブレーク制」の仕組みは、通常の延長戦は10回まで、11回以降は無死一、二塁の状態から試合を進行するというもの。その際、打順はどこから始めても良く、例えば最も得点能力の高いクリーンアップ(3、4、5番)を打順に立たせようとした場合には、二塁走者は1番打者、一塁走者は2番打者となる。11回が3、4、5番で終わったら、12回はその続きの6番打者から打席に立ち、二塁走者は4番打者、一塁走者は5番打者と、以下、同じパターンで試合を進めて行くわけだ。

プロ野球や高校野球を見慣れている日本の野球ファンにとってはあまりピンと来ないルールだが、国際野球連盟は2016年の五輪(開催地未定)からの野球競技復活を目指しているため(五輪での野球競技は北京が最後)、よりテレビ中継がしやすいルールの導入をずっと検討していた。もともと来年開催される野球のW杯から「タイブレーク制」を導入する案は存在していたのだが、「復活」へのアピールを兼ねて北京五輪に前倒しで導入する意向が強まったということのようだ。

ただ、開催まで2週間しかない段階でのルール変更はあまりに急なため、参加国の反発は必至。また、選手の起用法などにも影響を及ぼす変更であることから、現場の混乱は避けられそうにない。

まだ正式決定ではないため、各国からの反発が強ければ北京五輪での導入は見送られる可能性もまだ残されてはいる。最終的にどのような決定が下されるのか注目しておきたいところだ。

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