イタリア大聖堂落書きの女子学生が平和大使に、予想外の寛大対応。

2008/07/10 17:42 Written by コジマ

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近年、芸能人や学生などによる観光地での落書きが問題化していたが、特に注目を浴びたのが、今年6月に見つかったイタリア・フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂での落書き問題。岐阜市立女子短大の学生6人によるもので、名前とともに短大の略称を書いたことから発覚した。これに伴って、京都産業大の学生や常磐大高の野球部監督など特定できる日本人の落書きが次々と明らかになり、該当者は停学や解任などの厳しい処分が下されている。

こうした中で、岐阜市立女子短大の松田之利学長と落書きをした女子学生1人がフィレンツェ市役所を訪れ、大聖堂のミトラーノ館長や市役所の担当者らに謝罪した。号泣しながら謝る女子学生を市役所職員が慰めたり、ミトラーノ館長が抱擁したりなど温かい場面があり、同館長は「わざわざ謝罪に来るなんて、礼儀正しいわ」(FNNニュースより)と感激の様子だったという。

学生らは問題発覚直後に文書による謝罪を行っており、大聖堂側は「謝罪してもらえれば責任は問わず、修復費の負担も必要ない」と返事。また、イタリアでは古代遺跡に限らず電車やバス、街の壁に至るまで落書きだらけのため、日本での厳しい処分にイタリアの各紙は「行為はひどいが、解任や停学はやり過ぎ」(コリエレ・デラ・セラ紙)、「集団責任を重んじる日本社会の『げんこつ』はあまりに硬く、若い学生も容赦しなかった」(メッサジェロ紙)などと報じ、「日本のメディアによる騒ぎは過剰だ」(同紙)と日本の報道姿勢にも苦言を呈していた。

こうした背景からミトラーノ館長らは謝罪に訪れた女子学生を温く迎えたのだが、フィレンツェ市は女子学生らを平和大使に任命するという、さらなる寛大な対応を示した。同市が岐阜市と姉妹都市関係にあること、また岐阜市が太平洋戦争で米国の空襲を受けたことから任命を決めたようだ。

今回の謝罪について、イタリアのテレビ局記者は「信じられないほどの勇気ある行動だと思うわ。彼女の方が、われわれイタリア人よりもモニュメントに対する愛が大きいということを見せてくれた」(FNNニュースより)とコメントし、市役所も「岐阜市とフィレンツェは姉妹都市の関係にあり、この事件は終わりにしたい。事件は両市の関係をむしろ強めた」(共同通信より)との声明を発表している。

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