米国のサブ・カルチャーで代表的なものといえば「スター・ウォーズ」と「スター・トレック」のマニアたち。特に後者は「トレッキー」と呼ばれる熱烈なファンが沢山いることで知られ、その中には理論物理学者のスティーブン・ホーキング氏など、著名人も含まれているとか。ちなみにNASAが開発したスペースシャトルの実験機にも「スター・トレック」に登場する「エンタープライズ号」にちなんだ名前が付けられたことがあるそうで、いやはやNASAも洒落たことをするもんだなぁ、と（笑）。

さて、その「スター・トレック」にヒカル・スールー役（日本語吹き替え版では「ミスター・カトー」と呼ばれていたので、そちらの名を知っている人が多いかも……）で出演したジョージ・タケイ氏。たぶん米国ではもっともよく知られている日系アメリカ人の1人でもあります。彼は第二次世界大戦中に、多くの日系アメリカ人の自由を奪った強制収容所での生活を経験するなど、かなり波乱含みの子供時代を送ったことのある人物。戦後はUCLAで演劇学を学び、在学中から声優として活躍し始めたそうです。

そしてもちろん卒業後は「スター・トレック」での当たり役で一躍有名に。ヒカル・スールー役の成功で知られた後は、日系アメリカ人のためのチャリティー活動や、社会的地位向上に積極的に取り組み、その切実さが人々の尊敬を集めているとか。

で、そのタケイ氏なんですが、2005年に自身がゲイであることをカミング・アウトしたことでも話題になりました。

「戦時中は日系人であることを恥ずかしく思い、さらに思春期になって自分がゲイであると自覚し、そのことに対しても精神的に苦しんだ」

とその時に語った彼なんですが、この言葉の重みは多くの社会的弱者の心に響いたことでしょう。そして同じくして長年連れ添っているというパートナーのことも公表したタケイ氏。このたびこのお相手と、今年12月に結婚すると公表しました。カルフォルニアが先月、同姓間の結婚を認めたことで、すでにエレン・デジェネレスなどのゲイ有名人が婚約発表をしています。そしてタケイ氏も20年間一緒に生活を共にしていた男性と、晴れてご夫婦となることに……。いやはや、めでたい。

以前から同性愛者への偏見は「人種差別」にもつながると、反同性愛思想を批判してきたタケイ氏。これからも彼のライフ・スタイルを公にしていくことで、ゲイ・コミュニティーへのサポートを続けて行ってほしいものです。