日本ハムの多田野数人投手が山なりの「超スローボール」を初披露。

2008/06/19 13:11 Written by Narinari.com編集部

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ドラフト直前に発覚したスキャンダルでプロ野球への道を断たれた多田野数人投手が、野球のできる場所を求めて米国に渡ったのは2003年のこと。メジャー各球団の入団テストを受け、インディアンスとのマイナー契約を掴んだ多田野投手は1Aからのスタートだったが、2004年にはメジャー昇格を果たし、2005年までの2シーズンで15試合に登板、1勝1敗、防御率4.47の成績を残している。2006年と2007年はアスレチックスに移籍(マイナー契約)したものの、結局その後はメジャーでプレーすることはなく、昨年オフに日本に帰国。日本ハムからドラフト1巡目で指名を受け、新人としては破格の年俸3,000万円で契約を結び、今年は5月2日に1軍登録後、現在までに7試合に登板、3勝1敗、防御率1.80と大活躍中だ。

多田野投手は最速153キロのストレートと、スライダーやフォークなどの変化球を巧みに操り、硬軟織り交ぜたピッチングスタイルが特徴なのだが、そうした球種とは別に、米国でも何度か投げたことがある「超スローボール」を持つ投手としても知られている。80〜90キロ程度、ひょっとするとそれよりも遅いとも言われる(※計測不能のため推定値しか出せない)そのボールは、スピードもさることながら、まるで芸能人が始球式で投げるかのような山なりの弧を描いてキャッチャーミットに収まる球筋が見る者の目を奪う「魔球」なのだ。

この「超スローボール」が広く知られるようになったのは昨年5月。米国で多田野投手が投じた「超スローボール」の中継映像がYouTubeなどの動画共有サイトにアップされたのをきっかけに、ネットで「なんだあの球は」「多田野すげぇ」と騒然となった。中継映像ではそれまで淡々と伝えていた実況アナの声のトーンが、「超スローボール」を目の当たりにした瞬間に興奮気味となる様子がよく分かる。

ちなみに、多田野投手の「超スローボール」が恐らく初めて話題となったのはインディアンス時代の2004年9月2日に行われたヤンキース戦。メジャーを代表する偉大なる選手、アレックス・ロドリゲス内野手に推定80キロとも言われる山なりの「超スローボール」を投じ、サードゴロに打ち取ったことが一部の野球ファンの間では話題となっていた。

さて、そんな多田野投手の「超スローボール」がついに日本でも「解禁」。19日に行われた広島戦の5回裏、この回先頭のスコット・シーボル内野手に対して初めて「超スローボール」を投じたのだ。日本初披露となった「超スローボール」を果敢に打ちに行ったシーボル選手だったが、結果はショートゴロに。打者を幻惑させる武器として、十分に使えることを示す格好となった。

同日の「報道ステーション」(テレビ朝日系)では「あの球は見たことない」(解説者の栗山英樹氏)、「呆気にとられて言葉を飲み込んでしまいましたよ」(武内絵美アナ)といった驚きのコメントとともに、試合結果を伝えるコーナーで「これぞ多田野の真骨頂 驚愕の超スローボール」というミニ特集を放送。キャスターの古舘伊知郎もやはり驚きを隠せなかったようだ。

日本のプロ野球界入りまでには紆余曲折があったものの、こうして結果を出し、良い意味で注目されることが多くなった多田野投手。「超スローボール」が今シーズンあと何回見られるのかも楽しみにしながら、今後の多田野投手の活躍に期待したい。

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