星野ジャパンに立ちはだかる難敵、キューバは「野村野球」で戦う。

2008/05/31 23:26 Written by Narinari.com編集部

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「野球競技が行われる最後の五輪」となる北京五輪で、金メダル候補の一翼を担う星野ジャパン。出場8チーム(日本、米国、キューバ、オランダ、カナダ、韓国、台湾、中国)の中で、実力的に金メダルが狙える、直接のライバルとなるのは米国、キューバ、韓国と目されているが、特に難敵となるのがキューバだ。野球競技が五輪の正式競技となった1992年のバルセロナ五輪で金メダル、続く1996年のアトランタ五輪も金メダル。2000年のシドニー五輪は米国に敗れ銀メダルに終わったが、2004年のアテネ五輪では再び金メダルを獲得するなど、4大会中3度も金メダルに輝くというズバ抜けた成績を残してきた。

このキューバと、星野ジャパンは1次リーグの初戦(8月13日)で激突。いきなり最も強い国との対戦となるのだが、今回はこれまでのキューバとの対戦以上に「やりにくい相手」になると言われている。その理由はチームを率いるアントニオ・パチェコ監督とオレステス・キンデラン打撃コーチの存在。2人は2002年から2004年まで、日本の社会人野球チーム・シダックスでプレーをしていた「日本野球の経験者」である上に、その時のシダックスの指揮を執っていたのは野村克也監督(現楽天監督)という、「野村野球の申し子」なのだ。

パチェコとキンデランの両選手は、長年キューバの代表チームの主軸として活躍していた「キューバの至宝」。シダックス入団時にはすでに38歳と高齢で、往年の力を発揮できる年齢ではなかったが、野村監督の打撃指導や野球への考え方・取り組み方を学ぶことで見事に再生し、チームの主軸として活躍した。このときの経験はパチェコとキンデランにとって大きな財産となったようで、「(日本の野球からは)あまりにも学ぶことが多かった。いろいろなシチュエーションごとに、ノムラ采配を思い出して参考にしている」(日刊スポーツより)と、「野村野球」のエッセンスをキューバ代表チームに注入しているという。

かつて沙知代夫人の脱税疑惑で阪神の監督を辞任した野村監督が、後任として強く球団に推挙したのが星野監督だった。監督としてのタイプは全く異なる2人だが、「野村監督が選手に野球を教え、星野監督が選手を鼓舞した」と、どちらか一方が欠けても今の「強い阪神」はなかったと評する阪神ファンは多い。直接対決ではないとはいえ、そんな2人の目指してきた「野村野球」と「星野野球」が北京五輪でぶつかるのは、まさに「奇縁」と言えるだろう。

8月13日、舞台は北京五●(木へんに果)松体育中心棒球場。星野ジャパンは「野村野球」が注入されたキューバと、どのような試合を繰り広げるのだろうか。

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