野茂英雄投手の戦力外にチームメイトも衝撃、野球への姿勢を称賛。

2008/04/21 22:02 Written by コジマ

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4月10日のニューヨーク・ヤンキース戦で、1000日ぶりに米大リーグのマウンドに帰ってきたカンザスシティ・ロイヤルズの野茂英雄投手。しかし、その後は思うような成績が上げられず、同19日のオークランド・アスレチックス戦では薮田安彦投手とともに大炎上し、1/3回で3失点を喫してしまった。20日の同一カードでの先発登板の可能性もささやかれていたけれど、防御率18.69まで落ち込んだ野茂投手にトレイ・ヒルマン監督は戦力外通告を決断。代わりに、3Aで活躍する2006年ドラフト1位のルーク・ホッチェバー投手を昇格させたのだ。

20日に先発したホッチェバー投手は4回2/3で6失点と散々な成績で、チームも11-3と大敗した。これなら野茂投手の先発を試してみてもよかったのではないかという考えが浮かばないでもないけれど、ロイヤルズのディーン・テーラーGM補佐からマイナー契約の否定が発表されているため、昇格のチャンスはもうないのだ。今後10日間でトレードとウエーバー公示に応じる他球団がなかった場合、マイナー契約を飛ばして自由契約となる。今回のロイヤルズでの投球内容から推測して獲得に動く他球団があるかは微妙な状況で、現役引退の危機もささやかれている。

そんな野茂投手の戦力外通告は、ほとんどのチームメイトが知らされておらず、20日にクラブハウスを訪れた際、野茂投手のロッカーにホッチェバー投手のユニホームがあったことでショックを受けた選手もいた模様。こうしたチームメイトは、野茂投手の今後を気にするとともに、野球への姿勢について称賛のコメントを述べているのだ。

特にキャッチボールのパートナーを務めていた26歳のジミー・ゴブル投手は、高校時代から野茂投手に憧れていたそうで、チームメイトになった今季は技術面とともに「100%努力することを学んだ」(MAJOR.JPより)と振り返り、「彼は真のプロ。ゲームに臨む姿勢などを学んだ」「彼は、言葉を必要としないリーダーだった。態度で模範を示してくれた」(同)と絶賛。また、第2捕手のミゲル・オリボ選手も「サヨナラを言えなかったのが残念だ」(同)と惜しみ、記者に対して今後の動向を尋ねていたという。

フィラデルフィア・フィリーズの田口壮外野手が4月2日付の自身の日記で、ウェス・ヘルムズ内野手が突然戦力外通告されたことに「こんなにいきなりでは、彼自身も、家族も、生活をどう建て直していいやら、見当もつかないことでしょう。決して他人事ではないところも怖い」と記していたように、やはりチームメイトの戦力外通告はかなりショックが大きいようだ。

田口選手はこの日のエントリーで「人間、切羽詰ったときに、本当の人間性が顕れるものです。マイナー落ちした瞬間に、誰かを恨み始める選手。口をきかなくなる選手。八つ当たりを始める選手。嫌になるほど、山ほど見てきました」とし、「明るく、自分の状況を笑いながら説明し、消えていった」というヘルムズ選手に対して、「自分がその立場に立ったら?彼のように振舞えるのか?そんな自信はありません。そんな中にあって、ウエスのように感情をコントロールし、かつ、状況を冷静に判断し、まわりに気を遣いながら去る、それが、どれだけ難しく、かつ素晴らしい人間性であることか」と絶賛している。

野茂投手の去り際はヘルムズ選手とは違い、薮田投手以外には別れを告げなかったようだけど、田口選手がヘルムズ選手へ抱いた「彼がいなくなったことを寂しく思うと同時に、彼の引き際の鮮やかさを、憧れと尊敬をもって、見つめるばかりでした」という気持ちを、ロイヤルズの選手たちも感じたのかもしれない。

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