高校野球春季地区大会で二回66-0の大差、異例の試合放棄申告。

2008/04/16 23:25 Written by コジマ

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沖縄尚学(沖縄)の9年ぶりとなる優勝で幕を閉じた第80回記念選抜高等学校野球大会。ケガを負いながらも準決勝、決勝の2日間で計269球を投げ抜き、98年の松坂大輔投手(横浜、現ボストン・レッドソックス)以来という決勝戦完封を達成した東浜巨投手の活躍は記憶に新しい。この大会は接戦が多く、さらに決勝戦は東浜投手と聖望学園(埼玉)の大塚椋司投手という大会屈指の好投手が投げ合っただけに、9-0の大差は予想外だったのではないだろうか。

甲子園では力の拮抗した高校同士が戦うため得失点差はそれほどつかないものの、センバツでは1937年に27-0(滝川中対浦和中)、夏の全国選手権では1936年に27-4(静岡対長崎商)が最高記録として残っている。それが地方大会となると、30点を超える大差がつくことも珍しくない。こうした中、春季埼玉県大会北部地区予選1回戦で進修館と対戦した川本が二回裏1死の時点で66-0という大差がついたことにより、試合を放棄するという出来事があったのだ。申し出による試合放棄はきわめて異例のことなのだとか。

高校野球の最多得点差といえば、98年の全国選手権青森県大会で記録された東奥義塾対深浦の122-0が思い出される。深浦は正式部員10人中半数が野球未経験者で、初回に39点を失って以降、七回まで各回10、11、17、16、12、17失点。しかし、深浦の監督は最後まで戦い抜くことを決断し、対する東奥義塾の監督も手を抜いては失礼と全力で戦ったのだ。東奥義塾はこの試合で86安打、7本塁打、78盗塁をマークし、4番打者は2度のサイクルヒット記録している。

この試合を受けて、日本高校野球連盟は地方大会のコールドゲームの基準を5回10点差以上から7回7点差以上に変更した。この後も01年の長野県大会で下諏訪向陽対東部が63-0の大差を記録したが、今回の進修館対川本はこれを上回ってしまったのだ。

川本の正式部員は投手を含む2人だけで、ほかの選手は他部から助っ人。初回に26点を失い二回は1死の時点で40失点し、先発投手の投球数は250を超えていたという。このことから、川本の飯田貴司監督は「このペースだと4回で500球近く投げることになる。他の選手も集中力を欠くことで、けがの危険性があった」(スポーツ報知より)と判断し、大会本部に試合放棄を申し出たという。ちなみに、記録は規定によって9-0となっている。

正式部員数が足りないことから川本側は敗戦を予想していただろうけど、大差のうえに試合放棄はかなり悔しかったのではないだろうか。しかし、122点の大差で負けた深浦が、04年の県大会予選では13-6のコールドゲームで大会初勝利を挙げていることから、川本もこの悔しさをバネにがんばってもらいたいのだ。

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