英国新硬貨の斬新デザイン公表、6種類合わせると紋章が完成。

2008/04/13 23:07 Written by コジマ

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欧州連合(EU)に加盟しながらも、スウェーデンやデンマークとともにユーロを採用せず自国の通貨を用いている英国。現在、5〜50ポンドの紙幣4種類、1ペニー〜2ポンドの硬貨8種類が流通しているが、このうち1ペニー〜1ポンドの硬貨7種類のデザインが40年ぶりに変更されることとなった。英王立造幣局(The Royal Mint)によると、今夏から流通を開始するという。

英国でのデザイン変更といえば、昨年末、英ウェールズ出身の労働党議員らが英国旗にウェールズ旗の赤い竜「ウェルシュ・ドラゴン」が描かれていないと抗議したことから端を発し、英紙テレグラフが新国旗のデザイン案を募集したことが思い出される。巨大掲示板「2ちゃんねる」有志が応募したアニメキャラクター入りの案が人気投票で2位を獲得したほか、日本アニメの影響を受けてノルウェー人がデザインしたものが1位に選ばれたことが話題になったけれど、今回の硬貨デザインも斬新な案が採用されたのだ。

新デザインに変更するに当たり、王立造幣局は2005年8月に公募を開始した。寄せられた4000案の中から選ばれたのは、26歳の新鋭グラフィックデザイナー、マシュー・デント氏の作品。1ポンド硬貨には英王室紋章の盾が描かれており、1ペニー、2ペンス、5ペンス、10ペンス、20ペンス、50ペンスの各硬貨にはその盾の一部をデザイン、1ポンド以外の6種類を並べると、盾が浮かび上がってくるというものなのだ。

デント氏は、この案について「6つの硬貨を並べ、ジグソーパズルのようなものにできればいいな、と思いついた。デザインには鳥や植物、建物などいろんなものを考えたが、王室紋章の盾がぴったりだった。教室の机やバーのテーブルなどさまざまな場面で、みんながこの“ジグソーパズル”を楽しんでくれると思う」(王立造幣局公式サイトより)と語っている。

英王室の紋章は、盾の両側をイングランドの象徴である獅子とスコットランドの象徴であるユニコーンが支える大紋章。盾には、イングランドの紋章「3頭の獅子」2つとスコットランドの紋章「立ち上がる獅子」、アイルランドの紋章「ハープ」が描かれている。現行の1ポンド硬貨の基本デザインではこの王室紋章が採用されているのだけど、紋章内に描かれている盾のみが硬貨のデザインに採用されるのは初めてのこと。さらに、複数の硬貨によって1つの図柄が完成するというデザインも、英国史上初のことなのだとか。

新デザインが採用されるのは裏面のみで、表面の英女王エリザベス2世の肖像はそのままとなる。これまでも、エリザベス女王の年齢に合わせて硬貨の肖像も変更したほか、1ポンド硬貨の裏面はさまざまなデザインを採用するなど斬新なアイデアを実現してきた英国、今回のデザインも遊び心とそれを許容する風潮がある同国ならではの試みなのだ。王立造幣局はこのデザイン変更を記念し、プラチナ版や純金版、純銀版などの新旧デザイン記念硬貨も発売する。

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