パリの聖火リレー2度中断の大混乱、ネットでも抗議の機運高まる。

2008/04/07 23:57 Written by コジマ

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チベット自治区ラサの暴動鎮圧に端を発し、欧州を中心に世界的に批判が強まっている北京五輪。3月24日にギリシャ・オリンピアで行われた採火式では、人権侵害を訴える活動家や「国境なき記者団」などが妨害活動を行ったのだけど、その後、3月30日にアテネで開催された聖火引き渡し式では警官隊2000人を動員する厳重警備を行ったためか、大きな騒ぎはなく無事に終了したのだ。ただ、この影響で2度目のエベレスト登頂を目指していた登山家・三浦雄一郎氏が、予定していた中国側からネパール側に登山ルートを変更している。

ところが、4月6日に雪が舞うロンドンに聖火が到着すると、再び騒動が勃発。在英チベット人や人権団体など約6団体が1000人以上を動員する抗議デモを計画し、ロンドン警視庁は約2000人を配置して警備に当たったほか、中国からの警備員と英国の警官が数十人が聖火ランナーと伴走するという厳戒態勢を敷いた。しかし、沿道から人々が飛び出し、聖火を消そうとしたり奪おうとしたり、挙句には自転車で突っ込もうとする人、消火器を持ち出す人も現れたのだ。最終的に、抗議活動を行った36人が警察に拘束されたと伝えれれている。

これに対して北京五輪組織委員会聖火リレー広報担当者は、「卑劣な行為を強く非難する」(朝日新聞より)と発言。この発言を伝えた中国国営新華社通信は、ロンドンの聖火リレーについて「公安当局がリレーを妨害しようとしたごく少数のチベット独立派を逮捕した」と報道し、衛星放送でも英BBCの映像に規制を加えるなど、中国国内には欧州での抗議行動の高まりを伝えていない模様。また、抗議活動を行う人権団体などについて、中国政府は「自らの影響力を過大評価している。五輪を中国に圧力をかける機会と見なしても、中国政府は決して妥協しない。いかなる政治的脅迫も拒絶する」(読売新聞より)と強気な姿勢を示していたのだ。

また、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長は、「どのような理由であれ、暴力は聖火リレーの価値に見合うものではない」(CNNより)としながらも、「国際情勢とチベットでの出来事を深く懸念している」(同)という異例の声明を発表している。

こうした中で、7日に始まったもう1つの「危険地帯」であるパリでは、抗議行動がさらにエスカレート。聖火ランナーの前方には65台の白バイ隊が先導し、周りを48台の装甲車、ローラースケートを履いた100人の警官隊、消防隊員100人などが伴走し、コースはすべて高さ1メートル以上の柵を用意して警察官3000人を配備するなど、ロンドンを超える厳戒態勢を敷いた。もはや、聖火リレーをこの場で行う意味すら分からなくなるのだ。

正午過ぎにエッフェル塔を出発した聖火リレーは、こんな厳重警備の中でも抗議活動に遭い、警官隊が聖火を避難用バスに退避させ、一部の区間をバスで運ぶ始末。聖火リレーを歓迎する中国系住民と人権団体のトラブルもあり、「安全のため」として聖火を2度にわたって消したそうなのだ。また、聖火ランナーも「より良い世界のために」と記したバッジをつけて走行したほか、パリ市も庁舎に「パリは人権を擁護する」という横断幕を掲げるなど、人権団体以外にも“抗議活動”は行われていた。まさに、前代未聞の状態となっているのだ。

そんな聖火リレーのトラブルに対して、ネットでは北京五輪への批判が殺到。巨大掲示板などでは、日本での抗議活動を促す動きなども見られることから、4月26日に長野市内で実施される聖火リレーでも抗議活動が行われることが懸念されている。無事に北京五輪が開催されるのか、本当に心配になってきたのだ。

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