「氷上プロポーズ」に井上怜奈選手が感涙、全米フィギュア選手権で。

2008/01/28 23:50 Written by コジマ

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3月にスウェーデン・イエーテボリで開かれる世界選手権に向け、今季も各国の選手たちがしのぎを削っているフィギュアスケート。日本では、男子が高橋大輔選手(関大)、小塚崇彦選手(トヨタ)、南里康晴選手(中村学園大)、女子が浅田真央選手(中京大中京高)、安藤美姫選手(トヨタ)、中野友加里選手(早大)と、昨年12月に開かれた全日本選手権で上位に入った6人が出場を決めている。

こうした中で、日本と並ぶフィギュア大国である米国で、世界選手権出場をかけた全米選手権が開催された。女子では、Narinari.comでも以前ご紹介した日本人の両親を持つ長洲未来選手が14歳にして初優勝。ショートプログラム(SP)とフリーの合計が190.1点と、世界でのトップレベルの点数で全米を制覇したのだ。浅田選手を目標にしてきたという長洲選手、世界選手権や2010年のバンクーバー五輪では浅田選手らの強力なライバルになりそう。しかし、長洲選手が14歳、2位のレイチェル・フラット選手(188.73点)も15歳だったことから、世界選手権への代表決定はまだ審議中なのだとか。

この全米選手権でもう1人、日本人の両親を持つ選手が出場していた。それが、ジョン・ボルドウィン選手とペアを組んでいる井上怜奈選手。キアーナ・マクラフリン選手、ロックニ・ブルーベーカー選手のペアに敗れて2位だったのだけど、演技終了後にボルドウィン選手が井上選手に氷上でプロポーズし、井上選手が受け入れたために会場が祝福ムードに包まれたのだ。

井上選手は、兵庫県出身の31歳。90、92年に全日本Jr.選手権を制覇し、小山朋昭選手(現コーチ)とペアを組み中学3年にしてアルベールビル五輪に出場。日本人最高の14位に入った。94年には、リレハンメル五輪と世界選手権にシングルで出場し、いずれも好成績は残せなかったのだけど、日本ではトップレベルの選手だったのだ。

代表入りを逃した98年の長野五輪後、肺がんを患ったもののこれを克服し、01年に練習拠点を米国へ移転。このとき出会ったのがボルドウィン選手だった。2人は04年の全米選手権で優勝し、五輪出場を目指して井上選手が米国籍を取得した。交際を始めた06年には全米選手権、四大陸選手権を制覇し、トリノ五輪に出場。フリーでの失敗が響いて7位だったものの、SPで大技を成功するなど自己ベストとなる61.27を記録したのだ。続く世界選手権ではフリーと合計点で自己ベストを記録している。

昨季は、GPシリーズのスケートアメリカを制しながらも世界選手権で8位だったことから引退を発表したのだけど、すぐに撤回。王座奪回を目指して全米選手権に出場したのだ。

2人の公式サイトによると、演技を終えたボルドウィン選手がひざまずきながら井上選手の手を取り、「残りの人生を一緒に過ごしたいのは君なんだ」とプロポーズ。知らされていなかった井上選手は、突然の告白に涙ぐみながら、「はい」と返答したそうなのだ。井上選手は「こんなこと知らなかったし、最初は何が起きたか分からなかった」とコメントしている。

ロマンチックな「氷上プロポーズ」に、会場からも祝福の声が上がったのだそう。惜しくも優勝は逃してしまったけれど、絆がいっそう強くなった2人、初の世界選手権制覇に向けてがんばってほしいのだ。

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