東日本・九州から「ほっかほっか亭」消滅? 商標権めぐって内紛。

2008/01/17 22:12 Written by コジマ

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ブランド米を使用し、作りたての惣菜を提供するという、これまでの弁当の概念を覆して大成功した弁当チェーン「ほっかほっか亭」。温かみのある作りやリーズナブルな値段は、1人暮らしの学生やサラリーマンとって心強い味方なのだ。

1976年に埼玉県草加市で誕生したほっかほっか亭は85年、ほっかほっか亭総本部(81年設立)を母体に東日本、関西、九州の3地域本部制を導入。各運営会社によって、店舗のメニューも異なっている。県境出身の友達から「近所にある2店舗で違うメニューが楽しめた」という話を聞いて、うらやましくなったことがあるのだ。東日本(旧ほっかほっか亭)はダイエー傘下に入ったあと、99年に九州・山口地区の運営を担当しているプレナスが買収し、関西のほっかほっか亭大阪本部は93年にハークスレイに改称した。

創業30周年を迎えたその「ほっかほっか亭」が、東日本と九州・山口地区から消えるかもしれないという事態になっている。原因は、独立採算制を採用した際に商標権をほっかほっか亭総本部に移さず、東日本(旧ほっかほっか亭)に残したままだったこと。そのため、現在東日本地区の運営を行っているプレナスは商標権は自社にあると主張し続けているのだ。

このことから06年、プレナスは総本部を相手に商標権使用料として9519万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こした。子会社が親会社に商標権使用料を請求するという前代未聞の事態は、大きく注目されたのだ。これに対して創業者の田渕道行・ほっかほっか亭総本部代表は、創業仲間であるハークスレイの青木達也代表に相談し、対抗手段として持ち株すべてをハークスレイに譲渡。ハークスレイの持ち株率は、44%のプレナスを上回る56%になった。

さらに総本部は昨年、プレナスが運営する静岡地区のフランチャイズ契約更新を中止し、今年2月に契約満了となる東日本5県の契約更新も行わないと発表。また、プレナスが東京のオフィス内で行っているワゴン販売の中止を求めて“逆提訴”した。ちなみに、プレナスは契約が満了した静岡地区で現在も営業を行っており、総本部にフランチャイズ料も支払っている。しかし、総本部は「預かり金」として処理しているのだとか。

こうして泥沼化している「親子」の争いは平行線をたどっており、プレナスは1月15日に商標権を放棄し「新たなブランドをつくらざるを得ない」(朝日新聞より)と発表。約2200店を運営しているプレナスが新ブランドを立ち上げるとなると、全国で6割以上のほっかほっか亭が消えることになるのだ。とはいえ、プレナスにとっては、一時的な出費はあるもののハークスレイの地区にも出店できるチャンス。長期的には増収が見込めることになる。

いずれにせよ、消費者にとってはこれまでどおりの安くて温かい弁当を提供してもらえるかどうかが焦点になるのではないだろうか。東日本に住む者としては、慣れ親しんだほっかほっか亭の看板が消えるのは少しさみしい気がするけれど……。

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