ビル47階の高さから墜落、一命をとりとめた男性の奇跡を検証。

2007/12/19 14:47 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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「終末速度」(Final Velocity)。物体が空気中を落下する際にある一定のスピードに達すると、物体が下方向から受ける空気抵抗によりそれ以上は落下速度が上がらない時を指します。ウォール真木の苦手な物理が絡んでくるので、その計算方法とかは割愛しますが(笑)、人がスカイダイビングなどで落下する場合は時速200〜230km/h前後(毎秒55〜70メートル)がその「終末速度」になるんだそう。ちなみにこのマックスのスピードに達するには、ほん数秒もかからないというから驚きです。

もうひとつ、人が5メートルの高さから落下した場合、その衝突速度は約36km/h。安全に着地するにはこのスピードが限界だそうで、さらに頭部を打ち付けた場合の生存率は50%だとか。なので先の終末速度なんて、洒落にならないくらい確実に命を落とします……。

ところが先日ニューヨークで、なんと47階の高さから落下して一命をとりとめたという男性がいるとか。3〜4階分で大体10メートルとして、最低でも120メートルぐらいの高さです。ちょっとまて(汗)。

37歳のアルシデス・モレノさんは窓拭き師。12月7日の朝もいつもの様に弟のエドガーさんと一緒にビルの脇に取り付けられた吊り台に乗り、ビルの屋上近くで作業を始めようとしていました。ところが彼らが安全綱を身に付ける前に、何らかの衝撃で吊り台のケーブルが切断されてしまったのです。そしてそのままモレノさんたちは空中に……。

しかしモレノさん、吊り台の足場にしがみついたまま落下したため奇跡的に命を落とさずにすんだそう。なんでも吊り台の足場が空気抵抗を生み、落下速度を和らげてくれたとかで、さらにビルの谷間に生まれる上昇気流も、モレノさんの命を救った要因とのこと。

しかもラッキーなことに、モレノさんは着地時の姿勢もショックを最小限に食い止める「地面に平らな姿勢」だったそう。この格好だとショックがむらなく全身にかかるため、面積ごとインパクトが和らぎます。逆に足からなど狭い範囲の着地だと、確実に骨が砕け散ります。

モレノさんは落下直後にも意識を失うことなく、救急隊員が駆けつけた時にも上体を起こすなど出来たとか。病院に運ばれた彼は脳内出血、内臓損傷、全身骨折の重体と診断されましたが、回復の兆しを見せているそうです。いやはや、本当に奇跡ですねぇ。

ただモレノさんの弟はお兄さんの様に幸運ではなく、残念ながら体がコンクリートの壁に激突、即死だったそうです(涙)。ううう、ご愁傷様です……。


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