MLB薬物問題で日本球界も大混乱、阪神は「ジェフを信じている」。

2007/12/14 23:59 Written by コジマ

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今季、米大リーグ記録となる通算756号本塁打を放ったものの、薬物使用疑惑によって全米から非難を浴びている元サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手。ステロイド使用については大リーグで禁止されていなかったため罪には問われていないのだけど、薬物を使用したのに嘘の証言をしたとして11月15日に米連邦大陪審に偽証罪と司法妨害で起訴され、12月7日の初審理では無罪を主張していたのだ。

こうしてボンズ選手の薬物疑惑が注目されている中で、12月13日に米大リーグを震撼させる「ミッチェル・リポート」が発表された。これは、ボンズ選手に対する薬物疑惑の高まりから、2006年に大リーグが開始した過去の薬物使用の実態調査に関する報告書で、元上院議員のジョージ・ミッチェル氏を責任者としているためこの名前が付いている。

報告書は、栄養補助食品会社「バルコ」関連、薬物取り引きで逮捕された元メッツ球団職員からの情報、インターネットの購入記録などから薬物使用を特定。そのページ数は409にものぼっている。名前が挙がったのは、ボンズ選手はもちろんのこと、現役最多勝(通算354勝)のロジャー・クレメンス投手(ニューヨーク・ヤンキース)をはじめジェーソン・ジアンビ内野手(同)、アンディ・ペティット投手(同)、ミゲル・テハダ内野手(ボルチモア・オリオールズ)など、日本でも有名な大物選手を含む86選手。ケヴィン・ブラウン投手やホセ・カンセコ外野手といった大リーグを退団した選手の名前もあったのだ。

クレメンス投手に関しては使用を始めた時期や場所、期間など詳細に示されているこの報告書は米メディアが大々的に報じ、大リーグも混乱している。しかし、その衝撃は日本球界にまで波及した。というのも、報告書の中には阪神のジェフ・ウィリアムス投手やヤクルトのアダム・リグス内野手、西武を退団したアレックス・カブレラ内野手など、プロ野球で活躍している選手の名前も挙がっていたからなのだ。

ウィリアムス選手に関しては、元メッツ職員の証言から出たもので、99〜02年のロサンゼルス・ドジャース時代に使用したほか、阪神入団後にも小切手でステロイドを購入した記録が残っているのだとか。ウィリアムス選手は昨年に母国オーストラリアの五輪委員会と日本プロ野球組織で2度ドーピング検査を受けてともに陰性反応を示していたのだけど、小切手の日付は04年12月10日なので、疑惑を晴らすものとはなっていないのだ。阪神問い合わせに対して、帰国中のウィリアムス選手は「いつチェックしてもらっても結構。おれはクリーンだ」(デイリースポーツより)と話しており、南信男阪神球団社長は「我々はジェフを信じている」(日刊スポーツより)とコメントしている。

また、リグス選手はヒト成長ホルモンなどを購入した小切手が5通あり、ヤクルト入団後となる05年11月付のものも含まれているという。リグス選手も日本で2度ドーピング検査を受けているもののいずれも今年で、疑惑が晴れない状況となっている。ヤクルトの鈴木正球団社長は「事実としたらけしからん問題。早急に調査させる」(夕刊フジより)と、結果によっては契約が終了する前の解雇もにおわせているのだ。

さらにカブレラ選手に関しては、西武に移籍する前年の00年、アリゾナ・ダイヤモンドバックス所属時の状況を詳細に報告している。それによると、同球団のクラブハウスで職員がカブレラ選手あての荷物にビン入りの薬物や数百錠の錠剤を発見し、専門機関に提出。分析からステロイドが含まれていることが確認されたのだとか。カブレラ選手は昨年のワールド・ベースボール・クラシック直前にも薬物使用が取りざたされたようで、WBCベネズエラ代表候補から外れたのは薬物使用が確実視されたからだという情報もあるのだ。

これに対して、カブレラ選手が今季まで所属していた西武の前田康介球団本部長は「大変驚いている。(西武在籍中の)使用はなかったと思っている」「入団前に(薬物使用の)調査はしなかった」(サンケイスポーツより)とし、退団と薬物使用疑惑の関与は否定。一方、獲得に乗り出しているオリックスの球団幹部は「全く知らなかった。現在はオファーを出した段階で、契約はまだしていない。仮に契約していたとしても通常は契約書に現在も禁止薬物を使っていたことが判明した場合は解除できる条項を入れるので、それに沿って対応するだろう。でも、まだ契約したわけでもないので…」(夕刊フジより)と困惑のコメントをしているのだ。

このほか、横浜が獲得したラリー・ビグビー外野手や、今季までオリックスに在籍していたチャド・アレン外野手、元阪神のフィル・ハイアット内野手、元巨人のバート・ミアディッチ投手(元巨人)、元近鉄のクリス・ドネルス内野手(登録名C・Dの年もあり)、元ロッテのマット・フランコ内野手などの名前も挙がっている。「ミッチェル・リポート」がパンドラの箱を開けてしまったのかもしれないけれど、子供の憧れの存在である野球選手なだけに、徹底した追及が望まれるのだ。

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