学生に“ちゃん付け”で処分の大学教授、真相は相次ぐ問題行動?

2007/12/05 23:24 Written by コジマ

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1980年代後半から日本でも広がり、89年の「新語・流行語大賞」にも選ばれたセクシャルハラスメント(セクハラ)。おもに職場などで性的ないやがらせを受けていた女性にとって救いとなる機運だったのだけど、過剰に反応する人も出てきたため、世の男性たちを戦々恐々とさせている。最近は上司が部下に嫌がらせするパワーハラスメント(パワハラ)なんてものも浸透しており、ぼくが会社に勤めていた会社でも「部下と日常会話もできない……」と嘆く管理職の人が少なくなかったのだ。

そんな中、大学教授が女子学生を“ちゃん付け”で呼んだことから減給の懲戒処分を受けたことが、11月30日〜12月1日にかけて各紙で一斉に報じられた。処分を受けたのは山梨大学大学院医学工学総合研究部の50代の男性教授で、研究室の「紅一点」だった女子学生が同教授に“ちゃん付け”で呼ばれたことを不快に感じたため、昨年11月に大学内のハラスメント相談室に相談。大学側は1年をかけて調査を行い、教授が学生に対して行う嫌がらせのアカデミックハラスメント(アカハラ、キャンパスハラスメント)に当たるとして、今年の10月26日付で同教授に減給1万704円(1回)を言い渡したのだ。これは直近3カ月の平均日給の半額で、労働基準法で定められている減給処分の最低限レベルなのだとか。

大まかに言って「相手が不快に思ったらアウト」というハラスメントの定義は常に問題となっているのだけど、今回の件で大学側は「教授は昨年9月まではちゃん付けしていなかった。顔見知りになってから、ちゃん付けした」(サンケイスポーツより)と性的な意味がないこと、段階を踏んだことに理解を示しながらも、「本学では基本的に受け手が不利益と感じた場合は、たとえ教授が親しみを込めたつもりでもハラスメントと判断する」(スポーツ報知より)としている。ちなみに、性名どちらに“ちゃん付け”したのかは明らかになっていないのだ。

この厳しすぎる処分に対して、同大関係者からネットまで疑問の声が飛び交い、日本大法科大学院の板倉宏教授も「ハラスメントの判断基準は各大学の委員会によって違うが“ちゃん付け”でハラスメントになった例は聞いたことがない。大学院の学生を軽く子ども扱いするのは問題かもしれないが、懲戒処分は厳しいのでは」(スポーツ報知より)とコメントしている。近頃は幼稚園や小学校でも児童の人格を尊重するとして「〜さん」と呼ぶところが増えているそうだけど、「うっかり“ちゃん付け”で呼ぶと訴えられかねない」という恐怖感に襲われた人も多かったようなのだ。

ところがこの処分、単にアカハラだけによるものではなかったのだ。夕刊フジによると、処分を受けた教授は4年前から資金流用や公文書偽造、今回とは別のアカハラなどの問題行動が指摘されていたおり、一部の学生からも批判の声が上がっていたのだそう。しかし、証拠がなく同教授も認めなかったために、学生たちは“ちゃん付け”を嫌がる女子学生を押し立てて追放を画策。大学側も調査に乗り出し、同教授が認めたために今回の処分が決まった。つまり、他の問題行動で裁けないための“別件処分”ということになるのだ。学生たちの願いは通じ、同教授は退官願いを提出した。

これなら今回の処分も腑に落ちるのだけど、“ちゃん付け”で呼んだことで処分されたという事実は変わらない。会社や大学によって基準は違うけれど、女性に対して極力「〜さん」と呼んだほうが思わぬ災難を回避できそうなのだ。

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