チンパンジーの「短期記憶」能力はヒトよりも優秀、京都大学が発表。

2007/12/05 16:21 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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ウォール真木は今、大学で心理学のクラスを取っているのですが、先日読んだ教科書の章が「記憶と忘却」というやつでした。記憶には感覚記憶、短期記憶、長期記憶というのがあり、うんちゃんらかんちゃら〜……。あぁ、もう忘れてるし(汗)。知識を増やすはずの勉強なのに、単にウォール真木の「記憶力のなさ」を証明するだけの作業じゃあないか。ぐっすん(涙)。

なにはともあれ悔しいので調べなおしたのですが、記録の種類はその持続時間によって決まるそう。まず「感覚記憶」というのは、意味付けや符号化をしないで視覚や聴覚が短時間覚えている情報で、継続時間は1秒以下から数秒。

それより多少長い間情報を蓄積できるのは「短期記憶」による働きです。これは20秒ほど持続する記憶のことですが、大体7個前後の情報しか覚えられません。電話番号などの数字の羅列を教えられ直後にはリピートできるが、しばらく経つと忘れてしまうのはこの短期記憶のせい。なにかをずっと覚えていられるようになるには、その記憶を「長期記憶」として蓄積することが必要。これは忘却されない限り一生とどまる記憶のことです。

さて、このように3種類のステージがある記憶なのですが、先日発表された研究によると、ヒトよりもチンパンジーのほうが短期記憶能力に長けているのだとか。京都大学の教授らが5歳のチンパンジーを使って実験したところ、なんとこの動物は9個の数字のランダムな羅列を、1秒以下という瞬間にパッと見ただけで記憶する才能があったのだそうです。

この能力は普通のヒトの成人ではとても真似できるものではありません。ただしこれは子供に多いといわれる、いわゆる「フォトグラッフィック・メモリー(直観像記憶)」に酷似しているとのこと。この直観像記憶というのは、1度見た風景を映像として記憶し、その細部を後日になっても覚えていられる才能のことです。ヒトでは年齢が上がるにつれ、その能力が衰えがちになるというシロモノでもあります。

しかし今回、ヒトに最も近いといわれる動物のチンパンジーにこの短期記憶のずば抜けた能力があることが判ったことで、今後はヒトの脳の進化を知る手がかりにもなるのでは、と研究グループでは語っているそう。それにしてもチンパンジーとはいえ、あなどっちゃいけませんねぇ……。

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