優勝争いが休場で決着、締まらぬ幕切れに相撲ファンも「がっかり」。

2007/11/25 22:43 Written by コジマ

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八百長疑惑報道、朝青龍騒動、時津風部屋の力士死亡問題と揺れに揺れた今年の大相撲。ファンとしては、せめて土俵の中ではすばらしい相撲を見せてもらいたいものなのだ。ところが、1年を締めくくる九州場所は、優勝争いをしていた大関千代大海が休場し、結びの一番で大関琴光喜に敗れた横綱白鵬が優勝するという、今年の角界を象徴するような締まらない幕切れとなってしまったのだ。

11月11日に始まった九州場所は、2場所連続優勝を目指す白鵬が初日から小結琴奨菊に敗れてしまったのだけど、その後は勝利を重ねて13日目までで11勝2敗。これに千代大海が並んでいた。14日目には直接対決を制した白鵬が一歩リードしたのだけど、千秋楽の勝敗によっては優勝決定戦が行われる可能性があったのだ。

ところが、14日目の直接対決で右ひじを痛めた千代大海が、千秋楽を休場。同じ九州出身の大関魁皇との対決が流れただけでなく、白鵬の優勝が決定した。不戦敗によって優勝が決定したのは史上初のことで、さらに白鵬は結びの一番で琴光喜に豪快に投げられ敗戦。九州場所は「時津風問題」の余波で134年ぶりに番付に空白ができてしまったのだけど、今年の納め場所として最後まで締まりのない内容になってしまったのだ。

これに対してファンからは「がっかり」という声が飛び交い、産経新聞によると、十両の取り組みの間の挨拶で日本相撲協会の北の湖理事長が「今場所も力士が熱戦を展開」と述べると、場内から苦笑が広がったのだそう。こうした挨拶にも、角界の“ぬるま湯”感が出ているのだ。

また、12勝で優勝するのは4年前の名古屋場所(魁皇)以来で、横綱では99年九州場所の武蔵丸以来。出場停止中の朝青龍は、21回の優勝のうち13勝を下回ったことは1度もない。白鵬は「うれしいですけど、ちょっと…。まあ負けることもある」(サンケイスポーツより)と悔しさをにじまたコメントをしているのだけど、本人にとっても角界にとっても手放しで喜べる優勝ではなかったようなのだ。

千代大海の師匠である九重親方(審判長)は「うまい酒を飲めるような優勝じゃなきゃ駄目だろ」(読売新聞より)と鋭く批判しているのだけど、現役時代、取組中に左腕を脱臼しつつも右腕1本で勝利した九重親方だけに、弟子の休場とそれが招いたこの状態に怒りが募っているのかも。

12月2日開始の冬巡業から朝青龍が復帰するけれど、強い横綱の復帰に白鵬、さらには他の力士の刺激となって、大相撲がより楽しくなることに期待したいのだ。

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