2007年度版全米危険ランキングでデトロイトが1位、内容に批判も。

2007/11/20 23:57 Written by コジマ

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世界で最も進んだ国でありながら、犯罪大国として知られる米国。国連が2000年に調査したデータによると、犯罪率(刑事犯罪件数/総人口)は8.51%で日本(1.92%)の4倍以上、殺人事件に至っては4.55件/10万人と、日本(0.50件/10万人)の8倍以上となっている。こうしたデータに加え銃社会であることなどが、日本人にとってはちょっと怖い印象があるのだ。

では、その中でも危険度が高い都市はどこなのか。それを毎年紹介しているのが、米調査会社モーガン・クイットノーの「全米犯罪都市ランキング(City Crime Rankings)」。人口7万5000人以上の378都市を対象に、殺人、強盗、婦女暴行、傷害、夜の窃盗、自動車窃盗の6犯罪の発生率を集計し、全米平均を0としてそれに対する多寡を「犯罪スコア」にしたもの。犯罪の発生率は、米連邦捜査局(FBI)がその年に発表した統計に基づいているのだ。

昨年のワースト1は、ミズーリ州セントルイス。2000年版から7年連続でワースト3に入っており、02年版にもワースト1に選ばれている。ウォール真木の在住するのはその周りの郡で、昨年のランキング発表時に彼女が述べたとおり、セントルイスではこの汚名を晴らすべく、再開発を進めて都市の活性化を図っているのだそう。

こうした努力が功を奏したのか、なんとか2年連続のワースト1だけは免れたのだ。代わって1位になったのが、前回2位だったミシガン州最大の都市であるデトロイト。自動車やロック好きにとって聖地であるこの都市は“犯罪都市”の代名詞という側面もあり、その名にたがわず過去4度もワースト1に選ばれている。

しかし、デトロイトの犯罪スコア407に対してセントルイスは406と僅差なので、1位と2位は紙一重だったのだ。また、3位はデトロイトと同じミシガン州のフリント、4位はカリフォルニア州オークランド、5位はニュージャージー州カムデンが選ばれており、前回調査とほぼ変化がなかったのだ。

一方、安全な都市の1位はカリフォルニア州ミッションビエホ(前回3位)で、その犯罪スコアは−82。デトロイトやセントルイスとは500近い差があるのだ。2位はニューヨーク州クラークスタウン、3位は前回ベスト1のニュージャージー州ブリックタウンシップ、4位はこれまでに7回ベスト1を獲得しているニューヨーク州アマースト(前回2位)、5位はテキサス州シュガーランドと、郊外の都市が選ばれているのが特徴。常連が多いものの、前回調査でベスト25位にも入っていないクラークスタウンとシュガーランドが選ばれるなどの変化も出ているのだ。

しかし、このランキングの正確性を疑問視する声は少なくなく、モーガン・クイットノーを買収して調査を引き継いだCQプレスには、「誤解を与える」などの批判が殺到しているのだそう。米犯罪学会(ASC)は、ランキング発表前に「データの無責任な悪用であり、多くの街にいわれのない害を与える」(CNNより)という声明を出しており、統計を引用されているFBIすらも「それぞれの都市や地域の事情をまったく考慮せずに、安易かつ不完全な分析結果を出している」(同)という文を公式サイトに掲載するなど、CQプレスにとって「四面楚歌」の状態なのだ。

精度は保証できないものの、ウォール真木が述べているとおり、近辺に住んでいる者にとってワーストに選ばれている都市は治安が悪い傾向にあるのは確かなよう。米国に旅行する際の注意点として、頭の片隅に置いたほうがよさそうなのだ。

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