戦地からの便りが手渡しで太平洋を往復し、64年後日本の友へ。

2007/10/22 13:04 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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第二次世界大戦の最中、戦地でとある日本人兵士が送った葉書が先日、64年という長い歳月を経て、その宛先まで無事に届いたというお話です。

1943年、ブルマ(現ミャンマー)で兵役に付いていたナカシタ・ノブチカさん(当時22歳)は、長崎県で以前一緒に仕事をしていたナガノ・シズオさん宛てに一通の葉書を投函しました。ところが戦時中の混乱の中、その便りはナガノさんの手元に届くことがなく、日本はそのまま戦後を迎えることに。さらに残念なことに、ナカシタさんは葉書を投函した1年後に戦死してしまったそう(涙)。

しかしその後、長崎でその葉書を受け取ったのが、とある米兵士だったのです。この男性は日本語で書かれた、明らかに自分宛ではないこの便りを、なぜか捨てることなく米国に持ち帰ります。さらに今から25年前に亡くなるまで、アリゾナの自宅で大切に保管していたそう。そしてその後、葉書は息子さんに発見され、これまた捨てられることなく、彼と一緒に今度は太平洋を半分逆戻りする形で、ハワイへと渡ったのでした。

で、この息子さん、数年前にひとりの日本人留学生に出会います。奥さんが洋裁を教えていた生徒の一人だったという彼女は、現在兵庫県は武庫川女子大学に通う、コジマ・ユウコさん。息子さんは日本語が読めないということで、彼女に助けを求めたのでした。

そしてコジマさんはこの葉書が、まだ本当の受取人に届いていない便りだと気付いて、日本に持ち帰ることに。そして大学の助けを借りて、なんと2年間かけて高知県に住んでいるナガノさんを見つけ出したのです。コジマさん本人が彼のところまで出向き、先日ようやくこの葉書が本人の手に渡ったのです。

64年という歳月をかけて、長崎、アリゾナ、ハワイ、そして高知と旅した1枚の葉書……。それだけでも驚きですが、これがナガノさんに届くまでの道のりが、全て人の手による連結プレーで可能になったというのが、信じられない話です。ナガノさんは、

「まさかこういう形で、またヤマシタと再会出来るなんて本当に嬉しいことです」

と語っているとか。

ううう、久々にいい話だなぁ……(涙)。

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