9月29日に日本ハムの2連覇、10月3日に巨人の5年ぶりとなる優勝が決まった2007年のプロ野球各リーグ。しかし、今年はセ・リーグにもプレーオフ（クライマックスシリーズ）が導入されているので日本一への挑戦権はまだまだ確定していない。わが阪神は3位が確定しているので、10月13日からナゴヤドームで行われる中日戦（3回戦）、18日から東京ドームで行われる巨人戦（5回戦）に勝たなければならないのだ。でも、仮にクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本一になれたとしても、やっぱりリーグ優勝してほしかったなあ。

今年の阪神は、林威助（リン・ウェイツゥ）外野手や桜井広大外野手など新戦力の台頭があったものの打線は湿りがちで、先発も下柳剛投手がようやっと2ケタ勝利を挙げただけで、いまひとつピリッとしない。ジェフ・ウィリアムス投手、藤川球児投手、久保田智之投手の「JFK」に頼りっぱなしだったのだ。この「JFK」が崩れたことによって終盤は下位のヤクルトと横浜などに8連敗などを喫し、優勝戦線から離脱してしまったのだ。

即戦力の先発投手とスラッガーの補強が課題とされている阪神にとって救世主となりそうだったのが、大阪桐蔭高校の中田翔外野手。今年の夏の甲子園は出場できなかったものの、高校生史上最多となる通算87本塁打を記録し、投手としても最速151キロを記録するという超高校級の逸材なのだ。阪神は早くからドラフト1巡目指名を公表し、地元出身ということもあってマスコミからは「虎の恋人」とされていた。

また、夏の甲子園で最速となる155キロをマークした仙台育英高校の佐藤由規投手、選抜で広陵高校と激戦を繰り広げた成田高校の唐川侑己投手、春夏の甲子園を沸かせ選抜では優勝した常葉菊川の田中健二朗投手、県大会でノーヒットノーランを達成した市立船橋高校の岩崎翔投手など、今年の高校生は注目投手が多かったのだ。野手でも、高校通算60本塁打を記録した帝京高校の中村晃内野手、シュアな打撃と強肩が魅力である明徳義塾高校の伊藤光捕手、マルチな守備力と走力に定評がある横浜高校の高浜卓也内野手など、なかなかの逸材がそろっている。

こうした人材を求めて、10月3日に高校生ドラフトが開催された。1巡目は中田、佐藤、唐川の3選手に集中したのだけれど、中田外野手は阪神、オリックス、ソフトバンク、日本ハムの4球団が競合し、日本ハムが交渉権を獲得、佐藤投手は志望していた楽天のほかヤクルト、横浜、中日、巨人のセ・リーグ4球団が指名し、ヤクルトに決定、唐川投手はロッテと広島が争った結果、地元のロッテが引き当てたのだ。ちなみに、裏金問題の制裁処分のため、西武は上位2選手の指名権を剥奪されている。

3選手とも指名球団への入団に難色は示しておらず、中田外野手は三塁手に挑戦したいという希望も明かしている。うーん、阪神にとっては残念なことだけど、もめることの少なくない高校生ドラフトなだけに、抽選結果どおりに入団してくれるのは喜ばしいことではないだろうか。佐藤投手と相思相愛だった楽天の野村勝也監督は「古田は仙台のファンに恨まれるだろうな」とぼやいていたそうだけど。

一方、くじに外れた球団は、阪神と横浜が横浜高校の高浜卓也内野手、中日とソフトバンクが市立船橋高校の岩崎翔投手を指名し、高浜内野手は阪神が、岩崎投手はソフトバンクが交渉権を獲得。また、オリックスが高校通算23本塁打を記録した岐阜城北高校の丹羽将弥外野手、広島が同じく右肩に故障があるものの巧打に定評がある福岡工大城東高校の安倍友裕内野手、楽天は1年生からベンチ入りしていた札幌南高校の寺田龍平投手、巨人は甲子園に3度出場している熊本工業高校の藤村大介内野手を指名したのだ。意外なのが、常葉菊川高校の田中投手が「外れ外れ1位」まで残っていたこと。田中投手は横浜が交渉権を獲得し、中日は浦和学院高校のエースにして高校通算58本塁打の強打者である赤坂和幸投手を選んでいる。

このほか、帝京高校の中村晃内野手と大田阿斗里投手はそれぞれソフトバンクと横浜、明徳義塾高校の伊藤光捕手はオリックスに指名されている。阪神は高浜内野手のほかに、予告どおり甲子園に3度出場し高校通算25本塁打を記録している関西高校の森田一成内野手と常総学院高校の清原大貴投手を指名。内野手中心の補強は、将来のことを考えてのことなのかも。森田内野手は2年生のときに右肩を手術していることが心配なのだ。

ぼくが密かに注目していた2メートル100キロの大型選手、丸亀城西高校の関口将平投手は、どの球団からも指名がなかったもよう。そこがちょっと残念だったけど、今回指名された選手たちがどんな活躍をするのか、いまから楽しみなのだ。慶応大学の加藤幹典投手や法政大学の平野貴志投手らが注目されている大学・社会人ドラフトは、11月29日に行われる。