同時多発テロ事件から6年、米国メディアの関心はイラク戦争へ。

2007/09/11 10:45 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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あれから、6年ですね。

秋を感じさせる、涼しい風が吹く青空の朝。4機の飛行機がハイジャックされ、NYの世界貿易センタービル、ワシントンDCのアメリカ国防総省本庁舎(ペンタゴン)、そしてペンシルバニア州のシャンクスヴィル郊外に激突・墜落した「アメリカ同時多発テロ事件」。

あれから、もう6年。今、このコラムを書いている時点でも、まだ悲しみが押し寄せてきます。


ところで今年の9.11記念日を直前(米国時間では今、まだ前日の10日)にしているこちらでは、昨年の今頃とはちょっと違った雰囲気が漂っています。まず今朝からペトレイアス駐イラク米軍司令官による、イラク現状と今後の軍事方針の証言が米下院で行われています。さらに先週、アルカイダ指導者オサマ・ビンラディンのビデオでの声明が公表されたこともニュースになりました。イラク戦争が始まって4年目に入るというのに、まだ捕らえられていない彼に対し、市民の間では懸念が広がっています。

そう、今までのようにテロで亡くなった人たちを追悼しようという気持ちよりも、事件後に始まったイラク戦争の意義をめぐる討論に、報道が集中している感があるのです。

確かに事件後の対テロ対策として始まった、アフガニスタン戦争とイラク戦争が始まってからの米兵士犠牲者は4,600人以上(2007年、8月末現在)で、9.11での犠牲者(公式発表による)2,973人よりも大きく上回ってしまいました。なので9.11事件そのものより、イラク戦争が取り上げられている、この現状は当たり前なのかもしれません。しかし現在イラク戦争における論争が飛び交っている本当の理由は、この問題が来年11月にある次期大統領選挙における、最大の論点であるからでしょう。政治的なものが絡んでいるのが判るだけに、なんだか犠牲者がないがしろにされている気がして少し残念です。


でもテロで犠牲になった人、兵士として戦死してしまった人、その家族や友人たち。それだけに限らず直接的、そして間接的にあの6年前の出来事で人生が何らかの形で変わってしまった人は多いはず。それだけに明日東部時間の夜9時から、「グラウンド・ゼロ」の世界貿易センター跡地行われるブッシュ大統領のテレビ演説も、政治的なことを抜きにした内容になってほしいものです。

米市民が事件に対して、それぞれに思いをはせる1日になれますように。

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