現代用語事典「イミダス」「知恵蔵」が休刊へ、ウェブ版などは存続。

2007/08/31 19:36 Written by コジマ

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日々生まれたり変化を遂げたりする言葉には世相や風俗を表したものが多く、現代社会を知るうえで重要なキーワードとなっている。こうした現代用語を掲載し年鑑の役割も担っているのが、現代用語事典。1948年創刊の「現代用語の基礎知識」(自由国民社)をはじめ、現在3社から出版されているのだけど、それぞれに特色のある内容となっているのだ。

インターネットが普及した近年では新語が生まれる速度が加速しており、「現代用語の基礎知識」では06年版から「はてなダイアリー」の辞書である「はてなダイアリーキーワード」を収録し、ネット上で頻繁に使われた用語が掲載されるようになった。昨年発売の07年度版にも、「炎上」や「ようつべ」など95種類のキーワードが収録されている。「現代用語事典」を名乗るなら、ネット上の用語はもはや無視できない存在となっているのだ。

しかし一方で、「ウィキペディア」をはじめとしたネット上の事典のほうが利便性が高く、無料なことからもこうした現代用語事典の売り上げを圧迫している。事実、86年創刊の「imidas(イミダス)」(集英社)の発行部数は、創刊当時の113万8000部から今年度版は14万5000部に激減。89年創刊の「知恵蔵」(朝日新聞社)も、95万部から13万部に落ち込んでいるのだ。これは現代用語事典に限らず、新聞や雑誌、小説など出版界全体の問題となっているのだけど。

こうしたことからこの2誌が、昨年発売した07年度版で休刊することが発表されたのだ。「イミダス」は図やグラフを使ったビジュアル性で若い世代に人気だっただけに、ネット普及による発行部数落ち込みは納得できたのだけど、朝日新聞社の信頼性で中高年に支持された「知恵蔵」が全盛時の7分の1にまで下がっていることにはちょっと驚いたのだ。

2誌とも並行して提供しているウェブ版(有料)は続けるとのことで、「知恵蔵」が行っている流行語大賞「Word of the Year」も存続するのかも。また、「イミダス」は毎年本誌を発行していた11月に最新の時事用語絞った解説本を特別版として発売する予定だそう。

結局、老舗でネット用語を取り入れた「現代用語の基礎知識」が残る形となったのだけど、同誌も発行部数は落ちているようなので、楽観視はできないのだ。

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