最近の歌詞は「日本語回帰」? 松任谷由実と中島みゆきで調査。

2007/08/27 20:51 Written by コジマ

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日本のロックやポップスなどの歌詞で、いつも話題となるのが日本語のみがよいか英語交じりの歌詞がよいかということ。もともと英語の音節に合ったメロディなので日本語の歌詞を乗せると違和感を感じてしまうのは仕方のないことだけど、J-POPの英語交じりの歌詞は英語圏の人たちが聴くと逆に違和感があるようなのだ。

こうした中、松任谷由実と中島みゆきの曲を調査したところ、歌詞に出てくる外国語の割合がデビュー当時の1970年代から90年代後半まで増加していたものの、00年以降は減少傾向にあることが明らかになったのだ。こうしたことから、研究者は「日本語への回帰現象が起きているのではないか」としている。

この調査を行ったのは、国立国語研究所の伊藤雅光・文献情報グループ長。松任谷由実の347曲、中島みゆきの321曲を対象に、歌詞を日本語、アルファベット表記の外国語、カタカナ表記の外来語などに分類したのだ。その結果、デビュー当時から外国語の使用率が高かった(約4%)松任谷由実は99年までで14%に増加し、デビュー当時に外国語を使用しなかった中島みゆきも99年までで6%になっていた。ところが、00〜06年を見ると2人ともそれぞれ13%弱、2%と減少していたそうなのだ。

実際に中島みゆきの楽曲を見てみると、NHK「プロジェクトX」の主題歌となった「地上の星」(00年)は「ペガサス」や「ヴィーナス」などの外来語は出てくるものの外国語は0。エンディングテーマだった「ヘッドライト・テールライト」(同)もタイトル部分の歌詞以外はすべて日本語となっている。また、フジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」の主題歌だった「銀の龍の背に乗って」(03年)や、TOKIOに提供した「宙船」(06年)と「本日、未熟者」(07年)、新曲でTBS系「世界ウルルン滞在記」の主題歌・エンディングテーマとなっている「一期一会」「昔から雨が降ってくる」は、外国語だけでなくカタカナ表記の外来語も0となっている。

しかし、外国語詞増加期にリリースされた「浅い眠り」(92年)や「空と君とのあいだ」(94年)、「ファイト!」(同)なども外国語が使われていない。さらに、「誕生」(92年)や「Maybe」(同)などは、1〜2つの外国語が繰り返し使われているために歌詞の中での占有率が上がっているだけのようなのだ。

こうした「日本語回帰」の現象は松任谷由実や中島みゆきだけでなく、コブクロの「蕾」やオレンジレンジの「花」、レミオロメンの「粉雪」など、最近の曲でも顕著なのだそう。今週のヒットチャートを見てみると、小田和正の「こころ」(2位)、TOKIOの「本日、未熟者」(6位)、SunSet Swishの「ありがとう」(9位)など、カタカナ表記の外来語もない日本語のみの曲がベスト20の中に7曲入っていたのだ(「ありがとう」には1カ所「Ah」という歌詞があり)。たしかに増えているようで、これは外国語詞を多用していた小室哲哉全盛期などの反動なのかも。

80年代は「歌詞はすべて英語になる」なんて予測もあったけど、結局は真逆の傾向となっているもよう。日本語だけの歌詞もよいし、桑田佳祐やLOVE PSYCHEDELICOのような歌詞もすごい。また、ザ・クロマニヨンズなどのように外国語を日本語発音したり、「永遠にフォーエバー」なんてわざと遊んだりしているのも楽しいかも(真島昌利いわく、「一番いい部分=サビを日本語で歌わないなんてもったいない」だとか)。ただ、歌詞に絵文字が入っている曲が出てきたことにはびっくりしたのだ。

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