米パラマウントのHD DVD支持にM・ベイ監督が激怒、翌日に謝罪。

2007/08/23 20:37 Written by コジマ

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ブルーレイディスク(BD)とHD DVDの新規格の主導権をめぐって争われている「次世代DVD戦争」。現行のDVDでは記憶容量が少なく地上デジタル放送などが高画質のまま録画できないために開発された新規格なのだけど、家電だけでなく映画やパソコン、ゲーム機などを巻き込んで、勝敗の行方は混沌としているのだ。

それぞれの特徴は、BDが大容量、HD DVDは記憶容量がBDより少ないことで、現況ではBDが多数派となっている。しかし、特にソフトメーカーは洞ヶ峠を決め込んでいるところが少なくないため、まだまだ先行きは不透明。そんな中、8月20日に米大手映画会社のパラマウント・ピクチャーズとドリームワークスSKGがHD DVDのみに作品を供給することを発表したのだ。

パラマウントとドリームワークスはもともとHD DVD陣営とされていたのだけど、最近でも「ドリームガールズ」などBDフォーマットのソフトも発売してきた。しかし、「現在、市場で提供されている製品を検討した結果、HD DVDの方が製造コストが低く、市場に受け入れられやすいという結論に達した」(ITproより)として、今後はHD DVDフォーマットのみをリリースすることになった。これには10月26日に発売予定だった「トップガン」なども含まれており、BDプレーヤーで「トップガン」を見ることはできなくなるのだ。ちなみに、スティーブン・スピルバーグ監督の作品は除外されるとのこと。

これに対して激怒したのが、ハリウッドのヒットメーカーであるマイケル・ベイ監督。同監督が手がけた現在公開中の映画「トランスフォーマー」がBDで見られないことに対し、自身の公式サイト内にあるブログの8月21日午前1時の書き込みで「私は映画をできるだけ高画質で見てほしいから、ブルーレイ・ユーザーを拒絶する姿勢に腹が立つ。パラマウントは以前、両フォーマットをサポートする先進性を持っていたのに」とし、「これで私にとっての『トランスフォーマー2』はなくなったな!」と、続編のメガホンはとらないことを示唆するような書き込みもあったのだ。パラマウント作品を楽しみにしていたBDユーザーにとって、うれしい抗議だったのではないだろうか。

しかし、同日午後7時の書き込みでは態度が一転。「昨晩は3人のブルーレイ・ユーザーと夕食をとっていて、彼らは『トランスフォーマー』のブルーレイ版が出ないことに怒っていた。私は酔っていたので彼らの主張をうのみにしてしまった」「パラマウントがHD DVDを選択した理由やHD DVDプレーヤーが200ドルほどの低価格で発売されることも聞いた」とし、「深夜の投稿はよくない。過剰反応だった」と謝罪したのだ。

たった18時間で意見が180度変わったことにちょっと戸惑ったのだけど、「私は監督として、映画を最高のクオリティーで見てほしいだけ。会社の決定に現場が動揺するのはよくあること」としており、もしかしたら“大人の事情”があったのかも。また、同監督はHD DVDプレーヤーが約200ドルにかけて「200はマジックナンバーだ」「だから今日、映画『300』(ザック・スナイダー監督)をHD DVDで見たよ。最高だった!」というよく分からない絶賛をしていたので、もしかしたらこのときも酔っていたのかもしれない。

ただ、最後に「『トランスフォーマー2』で戻ってくるかも!」としているので、「トランスフォーマー」およびマイケル・ベイ監督のファンはほっとひと安心なのだ。

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