夏の甲子園決勝、史上初の逆転満塁本塁打で佐賀北が初優勝。

2007/08/22 20:31 Written by コジマ

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今年も8月8日に開幕した全国高校野球選手権大会。89回目を迎えた今回は、前大会を沸かせた早実の斎藤佑樹投手(現早稲田大)や駒大苫小牧の田中将大投手(現楽天)に負けないほどの逸材といわれる大阪桐蔭・中田翔投手の活躍が期待されていたのだけど、大阪桐蔭が地方大会の決勝で金光大阪に敗れるというハプニングが起きたのだ。

「スター不在」とされていた中で、1回戦の智弁和歌山(和歌山)戦で甲子園最速記録とされる155キロの速球を投じ17個の三振を奪った仙台育英(宮城)の佐藤由規投手が一躍注目を浴び、爆発的な強さを見せた帝京(東東京)や、選抜を制した常葉菊川(静岡)が3回戦で逆転勝利するなど、なかなか見所の多い大会だったのではないだろうか。

さて、てっきり帝京と常葉菊川が決勝を戦うと思っていたのだけど、この2校を破って頂上の舞台に上がったのは、佐賀県代表の佐賀北と広島県代表の広陵だった。佐賀北は帝京を破ったほか、2回戦で宇治山田商(三重)を引き分け再試合の末下すなど、7年ぶり2度目の出場ながらも激しい戦いを勝ち上がってきたダークホース。一方、4年ぶり18度目の出場となった古豪の広陵も1回戦の前回準優勝校・駒大苫小牧(南北海道)戦で逆転勝利し、準決勝でも最後まで追いすがる常葉菊川をなんとかかわして決勝に進んだのだ。

決勝戦では、佐賀北の久保貴大投手が甲子園初失点を喫するなど七回までに広陵が4-0とリードを広げていたのだけど、佐賀北が八回に満塁で四球押し出しで1点を返したあと副島浩史内野手が逆転となる本塁打。甲子園決勝では史上初となるグランドスラムに、5万人の観衆から拍手と歓声がわき起こったのだ。最終回も久保投手は走者を出しながらもきっちりと抑え、4-5で佐賀北が初優勝を果たした。佐賀勢の優勝は1994年の名門・佐賀商以来、13年ぶりなのだ。

佐賀北は主将の市丸大介捕手が抽選会で開幕試合を引き当ててしまったとき、百崎敏克監督は負けたらすぐ帰らなきゃいけないので「なんで引き当てたんだ」と責めたようだけど、結局は一番最後まで残り、優勝まで果たすとは想像できなかったみたい。試合後は「信じられません。何が起こったか分からない。2点差なら何とかなると思ったが、七回の2点で駄目かと思った。つけいるすきがなかった。最後の2回に高校生活のすべてをぶつけろと言った。」(サンケイスポーツより)と語っているのだ。

今大会は「特待生問題」を棚上げしたまま開催され、違反を申告した25校も出場していた。しかし、特待生制度もなく部員全員が県内の生徒である県立の佐賀北が優勝したことで、暗くなっていた高校野球に光が差したような気がする(公立校の優勝は、96年の松山商=愛媛=以来なのだとか)。特待生制度の賛否は置いといて、並み居る強豪校を粘り強く連破した佐賀北ナインに感謝したいのだ。

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