バリー・ボンズ外野手がメジャー本塁打記録更新、22年目で達成。

2007/08/08 17:48 Written by コジマ

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米大リーグ史上、燦然と輝くハンク・アーロンの通算本塁打記録。現ソフトバンク・王貞治監督の持つ868本には及ばず、不確かながら、ニグロ・リーグに所属していたジョシュ・ギブソンが962本で世界一とする説もあるのだけど、これらの記録は大リーグやギネスが認めていない(王監督の記録はアーロン本人は認めている)ため、ハンク・アーロンの755本が「ベースボール」の世界記録となっていたのだ。

31年間も破られることのなかった「黒いベーブ・ルース」によるこの記録に、サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手が並んだのは8月4日。それから3日後のワシントン・ナショナルズ戦、五回の打席でマイク・バクシック投手から通算756本目の本塁打を放ち、ついに記録を更新した。本拠地での記録達成とあって、AT&Tパークは大いに盛り上がったようなのだ。

ボンズ外野手は2004年シーズン終了時点で歴代3位となる通算703本の本塁打を放っており、05年シーズン中にベーブ・ルースの持つ歴代2位の714本を超えることは確実視され、メジャー記録となる1シーズン73本塁打をマークした01年並みに打てば、一気に記録更新することも期待されていた。ところが、05年は右ひざの故障・手術でシーズンの大半を欠場し、本塁打も5本止まり。昨季は130試合に出場したものの、26本にとどまって歴代2位になるのがやっとだったのだ。

明らかな衰えが指摘される中、今季は昨季以上のペースで本塁打を放っており、8月7日、今季22号のソロ本塁打でメジャー新記録を達成した。ハンク・アーロンが23年かかって築いた記録を、ボンズ外野手は1年以上短い期間で追い抜いたのだ。世紀の瞬間を目撃しようと集まった大観衆による「バリー・コール」が響く中、ボンズ外野手はバクシック投手が投じたインコース寄りの7球目を強振し、打球は右中間席に吸い込まれた。

ボンズ外野手は傲岸不遜な態度からチームメイトとの仲がうまくいっておらず、755号を放った際にも本塁で出迎えたチームメイトはいなかったのだけど、メジャー記録更新となった今回はチームメイトも出迎え、観衆もスタンディングオベーションで偉業を称えた。これにはボンズ外野手も感激したようで、試合を中断して行われたセレモニーでは言葉を詰まらせながら「ファンやチームメート、支えてくれたみんなに感謝したい。ありがとう」(サンケイスポーツより)というコメントを残しているのだ。ただ、残念ながら薬物使用に対して否定的な見解を持つハンク・アーロンが予告どおり出席せず、祝福コメントがスクリーンに映し出されたのみだった。

ボンズ外野手は、30代後半で異常な体格と記録を獲得していることから近年は薬物疑惑の渦中にある。その記録に否定的な意見を持つマスコミやファンが多く、記録表に「参考」であることを示す「*」が付けられていることもあるのだとか。現役選手たちは「薬物を使っていたとしても、簡単に本塁打が打てるわけではない。記録の価値が損なわれるとは思えない」という意見が多く、こぞってボンズ外野手の高い技術を称えているのだけど、少年たちに与える影響などから手放しで祝福できない偉業となってしまったのだ。

ここ数年、マーク・マグワイア(01年引退)にサミー・ソーサ外野手(現テキサス・レンジャーズ)など、薬物使用の疑惑がかけられた打者(ソーサ外野手はコルク入りバット使用のスキャンダルも)が通算本塁打記録の上位に食い込んでいる。米国の大リーグファンの中には、先日通算500本塁打を達成した優等生のアレックス・ロドリゲス内野手(ニューヨーク・ヤンキース)が記録を更新できそうなうちに、ボンズ外野手には引退してほしいと願っている人もいるようなのだ。


☆大リーグ通算本塁打記録(8月8日現在)

1. バリー・ボンズ* 756本
2. ハンク・アーロン 755本
3. ベーブ・ルース 714本
4. ウィリー・メイズ 660本
5. サミー・ソーサ* 604本
6. ケン・グリフィー・ジュニア* 589本
7. フランク・ロビンソン 586本
8. マーク・マグワイア 583本
9. ハーモン・キルブルー 573本
10. ラファエル・パルメイロ 569本

☆プロ野球通算本塁打記録(8月8日現在)

1. 王貞治 868本
2. 野村克也 657本
3. 門田博光 567本
4. 山本浩二 536本
5. 清原和博* 525本
6. 落合博満 510本
7. 張本勲 504本
7. 衣笠祥雄 504本
9. 大杉勝男 486本
10. 田淵幸一 474本

*は現役選手

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