開発中の国産旅客機、客室模型をパリ国際航空ショーで展示へ。

2007/06/11 23:37 Written by コジマ

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非公認ながら周回世界記録を樹立した「A-26」など、日本の航空機技術は戦中に高まっていた。しかし、戦後はGHQによって航空機の開発・運行が禁止され、1952年の一部解除までに技術はほとんど失われてしまい、自衛隊機、民間機問わずほとんどが海外企業のライセンス生産、つまり下請けが中心となっているのだ。

また民間機の製造は、ジャンボジェットの代名詞である「747」を製造するボーイング社と、先日発表された世界最大の航空機「A380」を製造するエアバス社の二強状態。日本企業が新規参入するには、なかなか厳しい状況なのだ。

ところが、自動車メーカーのホンダが03年にエンジンまで自社で開発した「HondaJet」の初飛行に成功。昨年に米国での販売を開始し、初日に100機以上の注文があったのだ。とはいえ、「HondaJet」は“自家用車の飛行機版”といわれる客席4〜5のビジネスジェット。旅客機は東京五輪の聖火を日本に空輸した日本航空機製造のプロペラ機「YS-11」以来、製造されていないのだ。

こうした中で、02年に戦時中の航空機製造をリードし、戦後もライセンス生産や国内初のビジネスジェット「MU-2」を開発した三菱重工業が、経済産業省からの提案を受けて日本企業でも参入できそうな30〜50席の小型旅客機の開発を計画。名称を「MRJ」とし、来春に販売開始を予定するまでこぎ着けている。この「MRJ」の客室模型が、今月18〜24日にフランスで開かれる「パリ国際航空ショー」に出展されるのだ。

「MRJ」の客室模型は、長さ8.89メートル、幅2.90メートル、高さ2.90メートルの実物大。座席は当初の計画より増やして70〜90席となっており、1列4席、中央の通路を挟んで2席ずつ設置されるとのこと。

「MRJ」は騒音が少なく、軽量化によって空気抵抗を減らし、他機に比べて20%の燃費向上を実現を目指していることから、「環境適応型高性能小型航空機」とも呼ばれる。当分は米国内の近距離路線で活用されることを目標にしているようだけど、騒音が少ない点では日本の空港にも向いてそう。

日本の航空機生産の未来を占うような「MRJ」、「HondaJet」や航空産業への参加を表明したトヨタとともに、今後も注目しておきたいのだ。

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