F1カナダGPで新人ハミルトン選手が初優勝、佐藤琢磨選手は6位。

2007/06/11 06:29 Written by コジマ

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第5戦モナコグランプリ(GP)の終了時点で、フェルナンド・アロンソ、ルイス・ハミルトン選手のマクラーレン・メルセデス2選手がドライバーズポイント38で並ぶ今季のF1。特に新人のハミルトン選手は優勝こそないものの、デビュー以来5戦連続で表彰台にのぼるなど旋風を巻き起こしている。逆にフェラーリ勢はフェリペ・マッサ選手が2度、キミ・ライコネン選手が1度優勝しているけれど、出遅れている状態となっているのだ。

こうした中で、第6戦のカナダGPが行われた。カナダGPのサーキットは、マクラーレンとフェラーリに所属した勇猛果敢な名ドライバー、故ジル・ヴィルヌーヴの名を冠したサーキット・ジル・ヴィルヌーヴ。高速コースでブレーキパッドの消耗が激しく、エスケープゾーンが狭いのでクラッシュが続出する難コースとなっている。特に、何人ものワールドチャンピオン経験者がクラッシュした最終シケインにある「ウォール・オブ・チャンピオン」をはじめ、コンクリートウォールはかなりの難関となっているのだ。

6月9日に行われた予選では、前日のフリー走行に続いてヘイッキ・コバライネン選手(ルノー)がウォールの餌食に。しかし、その後は大きな事故もなく、ハミルトン選手が初のポールポジションを獲得。アロンソ選手が2番手でフロントローをマクラーレン・メルセデスが独占し、3位はBMWザウバーのニック・ハイドフェルド選手となり、フェラーリ勢はライコネン選手が4位、マッサ選手が5位と一歩遅れてしまったのだ。スーパーアグリ・ホンダの佐藤琢磨選手は、3次予選への進出はならず、11番手からのスタートとなった。

10日に行われた決勝では、カナダGP名物のセーフティカーが4度も出動し、完走したのは12台という大荒れのレースに。スタートからジェンソン・バトン選手(ホンダ)のマシンが動かず、そのままリタイア。スタート直後の第1コーナーではアロンソ選手がコースアウトし、ハイドフェルド選手が2位に浮上する。

10周目でスコット・スピード選手(トロロッソ・フェラーリ)がアレキサンダー・ブルツ選手(BMWザウバー)と接触し、スピード選手がリタイア。そして23周目、エイドリアン・スティール選手(スパイカー・フェラーリ)が決勝で最初のウォールの餌食となる。さらに中盤には、ロベルト・クビサ選手(BMWザウバー)が見る者をハッとさせるような大クラッシュ。左リアタイヤとマシンの中心部以外がすべてちぎれ飛ぶという激しい破損なうえにクビサ選手が動かなかったので、セナの事故死を思い出してかなり心配したのだけど、近くの医療センターに搬送され命に別状はないとのこと。ほっとしたのだ。ただ、脚を骨折したという情報もあり、第3戦バーレーンGPから連続でポイントを獲得していただけに、これが本当ならかなり残念なのだけど……。

クビサ選手のクラッシュにより、2度目のセーフティカーが導入されたのだけど、この間にアロンソ選手とニコ・ロズベルグ選手(ウィリアムズ・トヨタ)が今季から禁止になっている給油を行ったため、ピットで10秒待機するというペナルティが科せられ順位が大幅にダウンした。

このほか、クリスチャン・アルバース選手(スパイカー・フェラーリ)のフロントウイング破損、ビタントニオ・リウッツィ選手(トロロッソ・フェラーリ)のクラッシュでセーフティカーが出動しまくり、そのたびにピットは大混雑となっていたのだ。この混雑のためにピットレーンの信号を無視したことによって、マッサ選手とジャンカルロ・フェイジケラ選手(ルノー)が痛恨の黒旗失格。また、佐藤琢磨選手のチームメイトであるアンソニー・デビッドソン選手がピットインしたときに、ピットクルーや交換するタイヤが出ていないという失態もあった。

しかし、この大波乱によってレース終盤まで接戦が見られたのも事実。最後までこれほどワクワクできたレースは久しぶりだったのだ。その中でも、日本人の興奮を頂点に高めたのが佐藤琢磨選手。ライコネン選手のミスを見逃さずにかわしたほか、給油の関係で順位を落としたあとも残り3周でラルフ・シューマッハ選手(トヨタ)、残り2周では王者アロンソ選手の隙を突いて、F1の醍醐味であるストレートでのオーバーテイク! 第4戦スペインGPを上回る6位となり、今季2度目のポイントを獲得したのだ。

追い上げながらもミスを繰り返すアロンソ選手と対照的に、ハミルトン選手は新人離れした冷静なドライビングで最後までトップを譲らず、F1参戦から6戦目、ポール・トゥ・ウィンで優勝を果たした。22歳154日での優勝は歴代4位だそう(1位はアロンソ選手の22歳21日)。ウィニングランでは、コックピットの中でも喜んでいることがありありと分かるほどはしゃいでおり、マシンを降りるとチームクルーとともに喜びを爆発させていた。その姿はクールなドライビングと対照的で、22歳の若者らしかったのだ。

2位は、スタート後の第1コーナーでアロンソ選手をかわしてからずっとハミルトン選手を追いかけてきたハイドフェルド選手、3位にはピットインを1度しか行わない作戦が功を奏したアレクサンダー・ブルツ選手(ウィリアムズ・トヨタ)が入った。2選手とも自己最高タイ記録なのだ。

これによって、ハミルトン選手は再びドライバーズポイントで単独首位となり、コンストラクターズポイントでは、マクラーレン・メルセデスがフェラーリを28点と大差をつけている。ついに初優勝を果たしたハミルトン選手、このまま独走して史上初の新人ワールドチャンピオン(アロンソ選手の最年少記録も更新)となるのか、また連続入賞記録をいつまで伸ばすのか、今後も注目なのだ。


☆2007年F1世界選手権カナダGP決勝結果

1. ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
2. ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)
3. アレクサンダー・ブルツ(ウィリアムズ・トヨタ)
4. ヘイッキ・コバライネン(ルノー)
5. キミ・ライコネン(フェラーリ)
6. 佐藤琢磨(スーパーアグリ・ホンダ)
7. フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・メルセデス)
8. ラルフ・シューマッハ(トヨタ)
9. マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
10. ニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ・トヨタ)
11. アンソニー・デビッドソン(スーパーアグリ・ホンダ)
12. ルーベンス・バリチェロ(ホンダ)

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