大相撲八百長疑惑、「週刊現代」が“証拠音声”をネットで公開。

2007/06/08 21:24 Written by コジマ

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今年の夏場所での全勝優勝によって白鵬が横綱に昇進し、「青白時代」の到来といわれている大相撲。国技の頂点2人がモンゴル出身というのは、日本人力士のふがいなさを感じて諸手を挙げては喜べない部分があるけれど、史上最長となる3年半の1人横綱状態が解消されたのは歓迎すべきことなのだ。

こうして2人横綱となって盛り上がる兆しをみせている大相撲だけど、ファンの気持ちを暗くさせるような事柄が、6月2日号の「週刊現代」によってスクープされた。昨年の名古屋場所千秋楽、綱取りを目指す白鵬と朝青龍の取り組みで「八百長」があったことを示す「証言テープ」を入手したというのだ。このテープは、白鵬の師匠である宮城野親方と「愛人女性」との間で交わされた会話を録音したもので、女性が親方との関係を解消したいとして同誌に提供された。

これに対して日本相撲協会は反論せず、顧問弁護士同席で宮城野親方を事情聴取しただけ。提訴もしていないのだ。「週刊現代」側は「いつでもテープを出せる」という強気の姿勢だったのだけど、ついにそのテープの一部が「週刊現代」のオンライン版に公開された。

会話の内容からは、名古屋場所千秋楽の前に朝青龍へ300万円を渡したことが聴き取れ、女性の「(朝青龍は)なんであんな下手くそなの、負け方」という発言に対して、宮城野親方と思われる男性が「(八百長での負け役を)したことないからだろう」「してもらってばっかで、自分がしたことないからだよ」と、これまでの朝青龍の八百長疑惑を裏付けるような発言もしている。

また、「だから一番いいのは、言ったんだ、『投げる』って言ったの。(しかし朝青龍に)『投げられるのイヤだ』と言われたの」としている。そういえば、夏場所の千秋楽で白鵬が朝青龍を投げたような……。

「週刊現代」の大相撲八百長疑惑報道は、2000年の元小結・板井圭介氏による告発を追及したことから端を発し、今年1月には朝青龍が勝ち星を80万円で買い、15回の優勝のうち11回は八百長だったことを報じている。また、3月には現日本相撲協会理事長の北の湖と初代貴ノ花の対戦で八百長があったことも記事にしているのだ。これに対して、日本相撲協会や各力士たちが発行元の講談社とライターに対して民事訴訟を起こしているのだけど、このニュースは新聞やテレビなどでも取り上げられ、角界やファンに与えた影響は計り知れない。

とはいえ、もともと大相撲は神事からスタートしており、江戸時代に目立った大名の意地の張り合いといった利益に絡むものだけでなく、1勝1敗で終わらせることを前提とした「人情相撲」や神様と取ってわざと負ける「ひとり相撲」などの儀式として発展してきたのも事実。いまとなってはすべてが「八百長」にひっくるめられてしまいそうだけど、他のスポーツとは違って伝統芸能という側面も持つ大相撲(だから、別格の横綱に品格が求められる)なだけに、八百長と呼ばれる行為にも賛否がさまざま。相撲を総合格闘技的にみるのか、それともプロレス的にみるのか、それによっても今回の八百長疑惑報道に対して受ける印象が変わってきそうなのだ。

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