YouTubeがかなえた夢、日本人少年とUKソウル界の新星が共演。

2007/05/18 22:07 Written by コジマ

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情緒豊かな楽曲に力強さと甘さを併せ持った歌声で、“21世紀のスティービー・ワンダー”“独りジャミロ・クワイ”とも呼ばれるUKソウル界新星、ネイト・ジェームス。日本ジャズ界の新勢力であるPE'Zとのコラボレーションや、春フェスのSPRINGROOVEにも出演し、印象的なアフロや眉毛と相まって日本でも人気急上昇中なのだ。

そんなネイト・ジェームスが、3月にリリースされたセカンド・アルバム『キングダム・フォールズ』を引っ提げて来日ツアー中なのだけど、17日に東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで行われたライブで、動画投稿サイト「YouTube」を通じて知り合った日本人の少年と共演したことが話題になっている。しかも、夢をかなえたのはネイト・ジェームスのほうだったというから驚きなのだ。

この少年は、福岡県福津市在住の小学生、花田涼くん(9歳)。涼くんは、ネイト・ジェームスのデビュー・アルバムである『セット・ザ・トーン』に収録されている「ジャスティファイ・ミー」をピアノで弾き語り、その姿をビデオに収めて今年1月にYouTubeへ投稿した。その動画を見ると、たどたどしいながらもちゃんと弾いており、フードをかぶった姿がとてもかわいらしいのだ。



この動画を、バックバンドを務めるギタリストがたまたま発見し、ネイト・ジェームスに報告。涼くんの演奏に感動した彼は、ピアノのみの演奏で再録音した「ジャスティファイ・ミー(ピアノ・アコースティック・ヴァージョン)」を、新作『キングダム・フォールズ』の日本盤にボーナス・トラックとして収録したのだ(リッスンジャパンで試聴可能)。これだけでも涼くんにとってはとてつもない幸運なのだけど、ネイト・ジェームスは「インスピレーションを与えてくれた少年にお礼がしたい」と対面を熱望。今年2月に来日したときに、取材のたびに涼くんへの呼びかけを行っていた。

その甲斐あって、帰国後の4月中旬に涼くんの両親から日本の販売元である東芝EMIを通じて連絡があり、今回の共演が実現したのだ。当日は、アンコールで通訳を経て観客にいきさつを説明し、涼くんをステージに招待。「ジャスティファイ・ミー」を2人で披露したのだ。2人はこの日が初対面で、2人はこのステージに向けてそれぞれ練習を重ねたのだそう。

念願の共演を果たしたネイト・ジェームスは、「夢がかなったね。彼(花田君)は、ピアノを弾きながら歌うことができるんだけど、ぼくはピアノが弾けないから、ぼくの歌のマイクの音量をちょっと上げさせてもらったよ(笑)。自分の歌が、自分の想像を越えて世界に届くことを実感して、感激すると共に、自分の発表・表現するものの責任の重さも実感した。これからの自分の表現者としてのキャリアにとって、間違いなく重要な経験になったよ」(レザボアレコーズ公式サイトより)と、興奮を隠さずにコメントしている。

ヴァージンレコード担当者の公式ブログには、共演しているところや涼くんとのツーショット写真とともに、担当者の〈ボク自信(原文ママ)この演奏を目の当たりにして目頭が熱くなりました。〉〈ここまでドラマチックではないにしろこんな出会いは、昨今のあふれかえっている動画サイトの中でどれぐらいあるのだろう。。。本当にステキなステージでした。〉というコメントが掲載されている。

まさに、ネット時代だからこそ実現した「ちょっといい話」。ネイトの素晴らしい心意気にも感動したのだ。これをきっかけに涼くんが世界に通じるミュージシャンになったら、「もっといい話」になるなあ。

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