洋画の邦題どうやって付ける? 配給元宣伝担当者の苦労。

2007/04/21 22:13 Written by コジマ

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一時めっきり見かけなくなった洋楽の邦題だけど、最近は増えつつある。シカゴの「素直になれなくて」(原題「Hard To Say I'm Sorry」)やセックス・ピストルズの『勝手にしやがれ!!』(原題『Never Mind the Bollocks』)などはより分かりやすくなっており、邦題を付けた人の苦労がうかがわれるのだ。中にはザ・フーの「俺は百姓」(原題「Now I'm A Farmer」)やパール・ジャムの「愚かなる掃除用具」(原題「Stupid Mops」)なんて、おいおいと言いたくなるものもたくさんあるけど。

洋楽とともに、邦題が話題になるのが洋画。こちらも命名にかなり苦労しているようで、配給会社の宣伝担当者が苦心しているようすを読売新聞が報じているのだ。

最初に取り上げられているのは、真田広之が船長役を演じることで話題の近未来SF映画「サンシャイン 2057」(ダニー・ボイル監督)。原題は「SUNSHINE」なのだけど、配給元の20世紀フォックスがアンケートを行ったところ、このタイトルだとコメディーや恋愛映画を連想する人が多かったのだとか。そこで、近未来とSFらしさを演出するため、無機質な数字を並べることに決定したのだとか。たしかに、「サンシャイン」よりも「サンシャイン 2057」のほうが映画のイメージに合っているのだ。

一方、「ハムレット」を原案にしたチャン・ツィイー主演の香港映画「女帝[エンペラー]」(フォン・シャオガン監督)に対して同紙は、原題の「THE BANQUET」や中国語題の「夜宴」とかけ離れているだけでなく、「女帝」なら「エンペラー」でなく「エンプレス」ではないかと疑問を呈しているのだ。これについて、配給元のギャガ・コミュニケーションズは、当初「ハムレット」を生かすべきか原題どおりにすべきか悩んだのだけど、「小難しい印象を与えかねない」「『野猿』という名詞が浮かんできそう」という理由から却下。独自の邦題を考えることになり、「女帝」と「エンペラー」を重ねて愛憎劇を強調するという案が採用されたのだ。

「『エンプレス』ではないか」という疑問については、「エンプレス」では語感が弱く、また男勝りの権力者という意味も込めて「エンペラー」にしたのだとか。それだったら「女帝 夜の宴」としたほうが分かりやすいと思うのだけれど……。

また、配給会社UIPのベテラン宣伝担当者や翻訳家の池田真紀子のコメントも掲載。「タワーリング・インフェルノ」に「そびえ立つ地獄」という邦題が付けられる予定だったことや、アクション作品では原題をカタカナで付ける場合が多く、女性をターゲットとした作品では日本語で考える割合が高いなどのエピソードが披露されている。

池田真紀子のコメントにあるように、「ロード・オブ・ザ・リング」を「指輪物語」にしなかった理由が分からないし、原題から「The」と「Rings」の「s」を抜いたことも不思議。でも、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」に比べればずっとマシなのだ。

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