道具を作って狩猟するチンパンジー発見、主に若いメスが使用。

2007/02/24 21:38 Written by コジマ

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人間以外の動物の中で最も知能が高いといわれるチンパンジー。フジテレビ系の深夜番組「チンパンニュースチャンネル(CNC) 」でメインキャスターを務めるゴメス・チェンバリンを見るたびに感心してしまうのだ。そんなチンパンジーの中で、道具を作り、それを使って狩りをする種類が発見されたのだ。

発見したのは、米アイオワ州立大学のジル・プルエ助教授らの研究チーム。同助教授がアフリカのセネガル南東部フォンゴリに生息するチンパンジーを1年以上にわたって調査したところ、木の枝から葉をちぎって先端を歯で切り刻むことによってヤリを作製し、木の幹や枝のウロに道具を突き刺すという行動に出たチンパンジーを22例発見したのだ。

22例のうち、子供のチンパンジーがふざけての行動が1例だけで、ほかは木の中に潜む獲物を傷つけるほど強く刺して捕らえており、1例では小型のサルであるガラコを捕獲していたというから驚きなのだ。狩りは通常、オスが行うのだけど、このヤリを使っていたのは雄雌ほぼ同数。つまり、狩猟機会から考えると、主にメスが使っていたことになるのだ。こうした点も研究者たちは驚いているみたい。ちなみに、このチンパンジーは、植物のほかに小型のサルを食べるのだそう。

今月半ばには4300年前にチンパンジーが使った石器が発見されたニュースが報じられたように、これまでチンパンジーが道具を使う可能性が研究者の間でたびたび取り上げられていたみたいだけど、人間以外の脊椎動物が他の脊椎動物を動物を捕らえるのに道具を使ったことが確認されたのは、史上初のこと。「CNC」のゴメスはスプーンを使ってデザートを食べているけど、これは人間が教えたためで、今回は自ら道具を作り出してそれを使ったという点がスゴイのだ。

また、メス、特に若いメスが使っていたことにより、プルエ助教授は「人類が道具を使い始めたことに女性が大きな役割を果たしたのではないかという推論を裏付けることになる」としているのだ。

人類の古代文明を見るとおおむねどの文化圏でも女性の地位が高いのだけど、それはシャーマニズムだけでなく、道具の作り方や使い方を伝えるという実利的な側面からも来ているのかも。そう考えると、今回の発見は人間にもつながる神秘的なものだったのだ。

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