「湖衣姫」から「由布姫」、大河ドラマに合わせて観光イベントも変更。

2007/01/03 19:52 Written by コジマ

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1月7日から放送されるNHKの新大河ドラマ「風林火山」。戦国武将、武田信玄の伝説的軍師である山本勘助の生涯を描き、昨年の「功名が辻」に続いての戦国時代もの、この時代が好きなぼくはワクワクしてしまうのだ。

今回、注目されているものの1つとして、そのキャストが挙げられる。上杉謙信役のGacktはかなり話題になったし、武田信玄役の市川亀治郎、北条氏康役の松井誠など、大河ドラマ初出演の人たちを多く起用、新人である柴本幸はヒロインに大抜擢されたのだ。その柴本幸演じるヒロインの名前を巡って、山梨県の観光イベントやキャンペーンでも名称の変更を余儀なくされているそうなのだ。

今回のヒロインは、武田信玄の側室である諏訪御料人。信玄の跡を継いだ勝頼の生母にして、「信玄最愛の女性」「薄幸の美女」なんていわれている女性なのだ。人物像を伝える史料がほとんど残っておらず実名は不詳、子供も勝頼しか生んでいないため、数々の逸話を疑問視する声が多いのだ。

そんな諏訪御料人を有名にしたのが、新田次郎の小説「武田信玄」(1965〜73年連載)。作中では「湖衣姫(こいひめ)」の名前で登場し、同作が1988年に大河ドラマで取り上げられたため、一般的にこの名前で広く浸透しているのだ。

ところが、「武田信玄」より前となる1955年に「風林火山」を執筆した井上靖は諏訪御料人を「由布姫(ゆうひめ)」と命名しており、今回の大河ドラマでもこの名前を採用する。そのため、山梨県などが行う観光イベントやキャンペーンで、これまで湖衣姫としていたものを、今年に限り由布姫に変更するそうなのだ。例えば、毎年4月に行われている信玄公祭りの甲州軍団出陣式に花を添えている「湖衣姫隊」を「由布姫隊」に改めるのだとか。

この「湖衣姫隊」をはじめ諏訪御料人に関する観光イベントやキャンペーンは、88年の大河ドラマ放送時に開始したものなので歴史的な問題があるというわけではない。だけど、20年近く湖衣姫を採用しているため、突然の変更は混乱を招く可能性がある。そのため、ポスターなどには2つの名前を併記しているそうなのだ。

県の観光部によると、今年の盛り上がり次第で来年以降も由布姫を採用する可能性もあるみたいで、今回の大河ドラマ人気が名称を左右しそう。「武田信玄」の平均視聴率は、大河ドラマ歴代2位の39.2%(最高視聴率も49.2%で歴代2位)。「風林火山」がこの記録に迫ることができれば、由布姫で定着しそうなのだ。

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