寄生虫が女性を魅力的に? チェコの研究者が発表。

2006/12/27 14:16 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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寄生虫の一種「トキソプラズマ」。ネコを飼ったことがある人や、妊娠を経験した女性なら一度は耳にしたことのある名前だと思います。この原虫は、ネコを宿主として他の動物(ヒトを含む)に寄生。一度感染すると、その後は一生その原虫を体内に留めるようになり、陽性反応は消えません。トキソプラズマ感染者は全世界、特に低地で暖かい地方で多くみられるそうで、またフランスでも感染者が多く、こちらは生肉を食べる習慣(タルタル・ステーキなどが有名ですよね)が関係しているようです。

トキソプラズマは健康な人が感染してもほとんど症状が出ないので、普通はあまり問題にされていません。しかし免疫が低下している場合、脳炎などを引き起こし、死亡ケースもあるので注意が必要。また、妊娠の数ヶ月前から妊娠初期にかけて初めて感染すると、胎児が先天性トキソプラズマ症になることが。これは流産や死産の可能性を高める他、出生後にも視力低下や発育不全といった異常を引き起こします。なのでトキソプラズマ抗体が陰性で、妊娠の可能性のある女性は注意が必要ですね。

さてこのトキソプラズマに関連した研究で、最近実に興味深い結果が出たそうです。チェコ共和国の研究者によると、この原虫に感染することで人の性格に変化が現れるそうで、その変化は男女でまったく違うのだとか。

まず女性の場合、感染に陽性反応を示す人は、陰性の人と比べて外交的でフレンドリーといった特徴があるそうで、異性からみてより魅力的に感じられるのだとか。フランス女性は魅力的な人が多いといわれますが、寄生虫がその要因だったのかぁ。

反対に男性は陽性の場合、IQや学歴が低めで、短気でリスクの高い言動が目立ち、反社会的で孤立しやすいという特徴が。これらの性格は一般的に女性に嫌煙されがちで、結果的にあまり異性にモテたい男性には嬉しくない現象です。あららぁ……。

しかし寄生虫が人格を変えてしまうなんて、そんなこと本当にありえるでしょうか? まるでオカルト小説の中の話みたいですが、これはネズミなどの動物実験ではすでに証明されていることだそうで、現実にありえない話ではないのです。今回の研究もまだ立証されるには時間がかかるとのことですが、もし本当だったとしたら、女性にとってトキソプラズマは「媚薬」としての利用価値もあるかも(笑)。


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Written by コジマ

この冬はノロウイルスが猛威をふるっていて、牡蠣の売り上げに影響しているだけでなく、命を落としている人も少なくない。ぼくの周囲でも感染している人がいるのだけれど、目に見えない感染症は本当に怖いのだ。こうした感染症のなかではポピュラーなのが、トキソプラズマ症。トキソプラズマは健康な人には無害とされているのだけど、感染によって精神的な変化を起こすことが判明したようなのだ。

トキソプラズマ症は、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)という寄生虫へ感染することによって起こる病気。感染しても健康な人はほとんど症状が出ないのだ。トキソプラズマに感染している人の割合は世界で40%で、特に生肉や不十分な加熱で肉を食べる文化のあるフランスではなんと85%。それだけポピュラーで無害な寄生虫ということなのだ。

ところが、このトキソプラズマへの感染が、男性に対してかなりマイナスな影響を及ぼすことが明らかになったのだ。なんでも、集中力や社交性が欠如し、危険な行動を好むようになるのだそう。IQも低下するというから驚きなのだ。ほかにも、挙動不審になったり嫉妬深く疑心暗鬼で気難しい性格になるのだそう。この研究を行ったオーストラリア・シドニー工科大学のニッキー・ボルター博士は「こうしたことから、女性にモテない男性になる可能性がある」と語っているのだ。

一方、女性はというと、親しみやすく、社交的で明るい性格になるのだとか。また、エッチな性格にもなるそうで、同博士は「モテる女性になる可能性が高い」としているのだ。

女性の場合、妊娠中の初感染は、多くの研究から胎児への悪影響が証明されている(しかも、子供が10代後半になってから症状が出る)。妊娠前にトキソプラズマに感染していない人は、12〜20%の確率で妊娠中に感染するというから、どうせ感染するなら、妊娠前に感染するほうがさまざまな面で好都合かも。

とはいえ、男性だけでなく、女性も感染しないに越したことはない。感染は経口、つまり口からだけだそうで、生や生に近い肉はできるだけ避け(生焼け状態での味見も×)、もう一つの感染経路である猫(特に子猫)との過剰な接触も避けたほうがよいようなのだ。帰宅後や料理・食事前の手洗いも重要とのこと。ワクチンがないので、こうした地道な行動で予防するしかないのだ。

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