外食産業も関心、“日本版ミシュラン”覆面調査員資格が人気に。

2006/12/22 23:08 Written by コジマ

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ホテルやレストランに覆面調査員を派遣し、格付けを行うことで有名な仏ミシュラン社の「ミシュランガイド(レッドガイド)」。レストランは星印(*)で評価し、最高は「***」、こうした方式自体を「ミシュラン」と呼んだりするのだ。この「ミシュランガイド」が発行されていない日本で、覆面調査員としての資格である「フードアナリスト」の検定試験が今年6月に始まったのだけど、若い女性から「食」に関わるプロまで、この資格を取得する人が急増しているのだ。

フードアナリストとは、身元を隠してレストランの料理やサービスを評価する覆面調査員の資格。「5つ星(最優秀店)」から「1つ星(優良店)」で格付けし、その評価は情報サービス会社「アテナイオス」が運営する「食卓賢人倶楽部」で公開されるのだ(公開開始は来年2月を予定)。つまり、食卓賢人倶楽部に公開する格付けを行えるというもので、「レッドガイド」の覆面調査員になれるわけではないのでご注意を。

特級から4級までの5段階に分かれ、5つ星は特級、4つ星は1級、3つ星は2級、2つ星は3級、1つ星は4級と、格付けできる範囲が限られているのだ。格付けの基準は、4級を見てみると、「料理の内容」「サービス」「食空間の雰囲気」「食空間の安全性・安心感」の4つのカテゴリーに別れており、それぞれ「値段に見合った料理であったか。」「係りの者の笑顔は優良であったか。」「空調の具合や温度は適切に保たれていたか。」「従業員のユニフォームは清潔であったか。」などの項目をチェックする。対象となる店は、チェーン店を含み和食やフレンチなどジャンルは問わないものの、コース料理を用意し酒類を提供していることが条件となっているのだ。

フードアナリストの取得方法は、検定試験や通信教育、フードアナリスト講座、指定専門学校への通学、自己推薦審査方式の4つ。年会費は、初年度2万円で1年ごとに2000円ずつ減っていき、6年目以降は1万円となる。4級の検定受験者は今年6月の第1回約50人から、11月の第2回は4倍となる約200人に急増、現時点で600人の有資格者がいるそうなのだ。ちなみに、4級の合格率は80%、特級になると3%だそう。

受験の動機は、「いつかヨーロッパで食べ歩きをしたいと思い、そのために知識を身につけようと受験しました。一番上の特級まで挑戦するつもりです」(産経新聞より)という女子大生から、「ふだんは店側の立場で飲食業界を見ているが、店側と客側の双方の視点を持つことで食文化への貢献をしたい」(同)と語るフードコンサルタントまでさまざま。資格が取得できる養成講座を社員研修に利用する企業も現れるなど、外食産業も熱い視線を送っているようなのだ。

「美味しい」という主観はさまざまなものの、有資格者が判定すること、項目を設定し一定の基準で評価することなどで、独断と偏見を極力避けられるようになっている。クオリティーの高い口コミといった感じだろうか。こうした格付けが日本版「ミシュランガイド」として発展していくのか、興味深いのだ。次回の検定試験(3、4級)は来年6月24日、東京、大阪などで開催されるので、食に関心のある人は受験してみては?

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