ビートルズも宿泊した老舗ホテル、「キャピトル東急」が閉館。

2006/11/30 14:25 Written by コジマ

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ビートルズの来日から40年ということもあって、今年は当時のようすを追った特集をしばしば見かけた。世界的アイドルの来襲は日本中をパニックに陥れたのだけど、彼ら自身は滞在中外出禁止という不自由な生活を送っていたのだ。

そんなビートルズが缶詰にされていたホテル「キャピトル東急」(当時の名称は「東京ヒルトンホテル」」)が、30日の正午をもって43年の歴史に幕を閉じた。ビートルズだけでなく、盟友のエリック・クラプトンやオードリー・ヘプバーン、マイケル・ジャクソン(+チンパンジーのバブルスくん)、エリザベス・テーラー、ダイアナ・ロス、ルチアーノ・パバロッティ、そしてビル・クリントン前米大統領と、海外の著名人にも愛されたホテルとあって、29日に行われた閉館セレモニーにも多数の人が訪れたのだ。

キャピトル東急は、東京五輪の前年となる63年に東急グループの実質的創業者・五島慶太が所有していた名門料亭「星ヶ岡茶寮」跡地周辺に地上10階、地下4階、455の客室を備えた「東京ヒルトンホテル」として開業した。83年には買収により経営権が東急グループに渡り、今の名称に改められたのだ。

多くの著名人が宿泊しただけでなく、ホテル内の施設も人気が高かった。1階のコーヒーハウス「オリガミ」は多くの芸能人が通い詰めたことでも有名で、最近は、ペ・ヨンジュンが宿泊した際に食べた麻婆豆腐などを食べようと、オバサマたちが殺到していたのだとか。閉館日となった30日には、こうした多くのファンが最後の料理を食べようと駆けつけ、3時間待ちの長蛇の列を作ったのだそう。ぼくもココの名物である排骨麺を一度食べてみたかったなあ。2541円もするけど。ちなみに、「オリガミ」は来春、赤坂東急プラザ内で営業を再開するとのこと。

また、立地が永田町(首相官邸の目の前)ということもあって、「村儀理容室」は多くの国会議員が常連となっていたそうで、小泉純一郎前首相の「ライオンヘア」はここでカットされていたのだ。政治家といえば、このホテルは出馬会見や密談の場としても利用されており、政治家の情報収集の拠点となっていた。

こうして数々の人たちの思い出が詰まったホテルの閉館、最終日は内田裕也らも訪れ、その最後を惜しんでいたのだ。熱狂的なビートルズ・ファンで、厳戒態勢だったなかを警備員の目をくぐり抜けてホテル内まで侵入した経験のあるぼくの母も、閉館をとても残念がっていたのだ。

跡地には、29階建ての複合ビルが建設される。ホテル機能も備えており、完成は2010年。キャピトル東急の太田範義・総支配人は「この伝統は、4年後に建つホテルにも引き継いでいきます」(読売新聞より)と語っている。また、従業員たちは全国にある東急ホテルズの系列ホテルへ移るのだそう。ホテルは閉館しても、多くの人を魅了した一流の心遣いは脈々と引き継がれていきそうなのだ。

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