クラッシュのシングル・コレクション発売、アナログ盤にこだわり凝縮。

2006/11/26 16:16 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


2002年に他界したジョー・ストラマーを中心に、70年代のロンドン・パンクを牽引したザ・クラッシュ。パンクというと最初にセックス・ピストルズを連想する場合が多いけれど、オリジナル・アルバム1枚、活動期間実質1年と短命だったピストルズと比べ、クラッシュは8年もの長期間人気を得ていたことから、ロンドン・パンクの代表はクラッシュだとする音楽ファンもいるのだ。

それに加えて、当時英国に住む黒人の間でブームとなっていたレゲエやスカなどを取り入れた音楽性は耳の肥えた音楽ファンを唸らせたし、左翼的政治思想を色濃く出した歌詞は日本でも多くの人の共感を得た。こうしたことからも、広く浅くファンを獲得していったピストルズとは違い、クラッシュには熱心なファンがとても多いのだ。

そんなディープなクラッシュ・ファンにとって嬉しいコレクションがソニーミュージックから発売されることになった。77〜85年に発売された「白い暴動」から「ディス・イズ・イングランド」までのシングル19枚セットがCDとアナログ盤で再現されるのだ。特に、ネット通販だけで限定販売されるアナログ盤は、採算度外視で超こだわりの仕上がりとなっている。

この『the Clash SINGLES'77-'85』は、80年に同社が限定販売した77〜79年のクラッシュのシングルを集めたコレクション・ボックス『the Clash SINGLES'77-'79』の再販売を望む多くの声に応える形でリリースされることとなった。80年以降も新たなディープ・ファンを獲得していったクラッシュなだけに、『'77-'79』はネットオークションなどで高額で取り引きされていたのだ。

今回の『'77-'85』は、元クラッシュのミック・ジョーンズとポール・シムノンが全面監修し、ボックスのアートワークはクラッシュのオリジナル・デザイナーであるJules Balineが担当、大ページのブックレットや当時のシングルに封入されていたステッカーなどなど、特典も盛りだくさんなのだ。オリジナルが世界で1万枚しかないという「Capital Radio EP」もちゃんと入っている。

しかし、このボックスの発売決定、特にアナログ盤のリリースにはかなりの障害があったようで、担当者でチーフプロデューサーの白木哲也氏によるブログには、その困難な道のりが克明に記されている。英国とのやり取りなどは、相当苦労をしたようなのだ。

そして、驚きなのがアナログ盤でみせているこだわり。音はもちろん、レーベル面からジャケットの色味や折り返しまで、当時のものを完全に再現しているのだ。今回は日英同時リリースなのだけど、英国盤と日本盤は違うモノとなっており、このこだわりは日本盤だけで味わうことができる。

そして、このこだわりのコレクションに対して、国内外の多くのミュージシャンからコメントが寄せられている。海外からは、ビースティ・ボーイズのマイク・D、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー、セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズ、ブラー/ゴリラズ/ザ・グッド、ザ・バンド・アンド・ザ・クイーン(仮)のデーモン・アルバーン、ザ・フーのピート・タウンゼント、イアン・ブラウン(元ストーン・ローゼズ)、ニュー・オーダーのバーナード・サムナー、ダーティ・プリティ・シングス(元リバティーンズ)のカール・バラー、ポーグスのシェイン・マガウアン、シャーラタンズのティム・バージェス、ジョン・スクワイア(元ストーン・ローゼズ)、ハード・ファイのリチャード・アーチャー、フー・ファイターズのクリス・シフレットなどなど。同世代から新人まで、クラッシュがいかに幅広い年代に愛されているかが分かるのだ。

日本からは、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトと真島昌利をはじめ、THE MODSの森山達也、アナーキーの仲野茂、当時のライナーノートを手がけていた大貫憲章、当時の担当ディレクターで今回のボックスも手がけている野中規雄・ソニーミュージックダイレクト社長などなど、こちらも充実しているのだ。

こうした、担当者のこだわりと情熱がぎゅぎゅっと詰まった『the Clash SINGLES'77-'85』、ファンならずとも興味を抱いてしまいそうなのだ。発売日は12月20日で、CD盤が1万2600円、アナログ盤が1万5750円。双方とも限定生産で、特にアナログ盤はネット通販のみで5000セットだけ販売される。手に入れたい人は、公式サイトで早めに予約を。

このほか、新たなクラッシュ・ファンに向けて、40曲入りの2枚組ベスト盤である『エッセンシャル・クラッシュ』に12曲分のDVDが付いた『エッセンシャル・クラッシュ・プラス』が、12月6日にリリースされる。別々で買うと7770円なのだけど、今回はセットで3990円。リバティーンズやダーティ・プリティ・シングスなど、今が旬のUKロックをプロデュースしているミック・ジョーンズらの原点を知りたい音楽ファンにとって、クラッシュを音と映像で体感できるお得なセットになっているのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.