「新東京タワー」のデザイン発表、日本の伝統美を意識。

2006/11/24 21:16 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


地上デジタル放送用の電波塔として2011年半ばに竣工予定の「新東京タワー」。ぼくは東京都墨田区出身のため、この新タワーが「業平橋・押上地区」に建設されることが決定してから少なからず関心を抱いており、どんなタワーになるのか楽しみだったのだ。そして、ようやくそのデザインが発表された。

新タワーのデザインは、誘致活動時に公表した案を基本とし、事業主体である東武鉄道と新東京タワーが7月4〜24日に行ったアンケート「届け!私が想う新タワー」で寄せられた意見(応募総数5079人)も反映したのだそう。設計は日建設計が行い、建築家の安藤忠雄氏(東京大学名誉教授)と彫刻家の澄川喜一氏(元東京芸術大学学長)が監修を担当したのだ。

新タワーのデザインコンセプトは、
・時空を超えた都市景観の創造
・まちの活性化への起爆剤
・都市防災「安全と安心」への貢献
の3点で、キーワードは「日本の伝統美」と「3」。日本刀の「そり」や寺社などの伝統建築に見られるふくらみである「むくり」を意識し、頂部から足元に向かって連続的に変化する形状になっているのだとか。どうやら、方向によって違った形に見えるようなのだ。

耐震構造も五重塔を参考にし、「心柱」を鉄筋コンクリートで再現し、編かご状の鉄骨が曲線状に周囲を取り巻くような構造にしている。江戸文化が花開いただけでなく、在原業平にちなんで命名された業平橋地区にぴったりのキーワードなのだ。

また、足元を三角形で設計し、安定と周囲への圧迫感の緩和を図っている。この「3」というキーワードは、隅田川と荒川に挟まれたデルタ地帯である墨田区を象徴しているそうなのだ。

タワーの高さは電波塔として世界一の高さとなる610メートルで、展望台は地上350メートルと450メートルの2カ所に設置される。350メートルの展望台は大型のもので、450メートルの展望台は空中回廊型になるという。このデザインはあくまで事業者案で、今後関係各所と協議してから最終案が決定されるのだ。

東武鉄道と新東京タワーは、新タワーを核とした周辺開発プロジェクト「Rising East Project」も計画しており、浅草に比べて寂しかった業平橋・押上地区が活性化されることに期待したい。でも、あの観光化されていない下町の雰囲気がなくなることについては、ちょっと複雑な気持ちなのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.