町工場の技術が結集、民間人工衛星「まいど1号」候補機を公開。

2006/11/17 00:36 Written by コジマ

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2003年に放送されていた公共広告機構(AC)のCMですっかり有名になった民間人工衛星「まいど1号」。町工場の多い東大阪市の中小企業が技術力のアピールを目的に開発を始めたのだけど、あのCMを初めて見たときは、てっきりフィクションかと思っていたのだ。そんな「まいど1号」の候補機「SOHLA-1」の組み立てが、ようやっと完了したのだ。

東大阪市は「モノづくりのまち」として有名な町工場密集地帯。東京でいうと、墨田区や江東区あたりに該当するのだ。東京がそうであるように、東大阪でも不況によって高い技術を持つ町工場がどんどん廃業に追い込まれ、加えて技術者の高齢化によって受け継ぐ人が減少しているという厳しい状況にあった。

そのため、「中小企業の高い技術力を結集して何かアピールできないか」と相談した結果、宇宙航空産業を地場産業に育てることを決定したのだ。02年12月に東大阪宇宙開発共同組合(SOHLA)を設立し、第一歩として着手したのが人工衛星「まいど1号」の開発。03年にCM放送されたため、コミカルなネーミングも相まって話題になったのはご存じの通り。

CM公開当時は、中小企業の団体が人工衛星を打ち上げるなんて驚いたのだけど、「まいど1号」はいわゆるアマチュア衛生と呼ばれるもので、欧米では盛んに打ち上げられているそうなのだ(これまで世界で約70機が打ち上げられたのだとか)。

SOHLAが当初に立てた計画では、05年度に打ち上げる予定だった。H-IIAロケットの開発などで有名な独立行政法人、宇宙航行研究開発機構(JAXA)や大阪大学と技術提携するなど、打ち上げに向けて着実に進んでいたのだけれど、計画の遅滞は世の常。開発がうまく進まず、ちょっと遅れて候補機「SOHLA-1」の組み立てが完了したのだ。今回公開されたものには打ち上げに必要なシステムが組み込まれておらず、完成までにはあと1年ほどかかるという。

打ち上げは08年度を予定しており、来年打ち上げ予定のもう1つの試作機「SOHLA-2」と比べ、完成度の高いほうを「まいど1号」にするのだとか。本格的打ち上げには、まだまだかかるかもしれない。

「夢を打ち上げるんやない。夢で打ち上げるんや」がスローガンのSOHLA。日本が誇る技術の代表者である彼らの試みを、温かく、いや、熱く見守っていきたいのだ。ちなみに、「SOHLA-1」は機能試験を行うためいったん分解されるのだけど、12月上旬までクリエイション・コア東大阪(東大阪市荒本北50-5)で一般公開されるのだ。

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