海外発のドキュメンタリー、硬派なテーマの衝撃作2本が上陸。

2006/11/09 21:23 Written by コ○助

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米国コロンバイン高校の銃乱射事件をテーマにしたマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」をひとつの契機に、近年再評価され、話題に上る機会が増えてきたドキュメンタリー映画の数々。ドキュメンタリーの体裁を取りながら、巧みに世論誘導をしているのではないか、と一部に批判を受ける作品もあるなりが、そうした賛否もひっくるめて大きな盛り上がりを見せているなりよ。製作される本数も、ここ数年でグッと増えてきているなりね。

日本でもその波を受け、以前に比べればずいぶんとドキュメンタリー映画が公開されるようになったなりが、今年は年末から年初にかけて、「衝撃作」と銘打つ2本のドキュメンタリー映画が公開されるなりよ。すでに公開された米国や、上映された映画祭などで絶賛を浴びているという2本だけに、ドキュメンタリー好きならチェックしておきたい作品なり。

ひとつは米国がクリントン政権だった頃の副大統領、アル・ゴア氏が出演の「不都合な真実」(デイビス・グッゲンハイム監督)。ゴア氏は人々の環境問題に対する意識を変えていくために、欧米やアジアなど、これまで約1000か所以上で講演を行っているなりが、「不都合な真実」はそんなゴア氏に密着した作品なりよ。詳細なデータを示しながら、なぜ地球温暖化は進んでいるのか、なぜ異常気象が起きているのかという疑問と向き合い、地球の「今」に警鐘を鳴らしているなりね。

この作品は当初、米国で77スクリーンの上映だったなりが、それでも全米の興行収入成績のトップ10にランクイン。すぐに拡大上映となり、最大600スクリーン近くまで上映館が広がったほどの大ヒットを記録しているなりよ。カンヌ国際映画祭でも招待作品として上映され、サンダンス映画祭でも絶賛。来年のアカデミー賞では長編ドキュメンタリー部門の最有力候補になるのではないか、との見方も強いなりね。公開は来年1月20日からの予定。

もうひとつは世界第2位の大きさを誇るアフリカの淡水湖、ヴィクトリア湖を舞台にした「ダーウィンの悪夢」(フーベルト・ザウパー監督)。かつて多様な生物が生息する「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたヴィクトリア湖に、ささいな試みから大食で肉食の外来魚・ナイルパーチが放流されたのは半世紀ほど前のこと。その結果、ヴィクトリア湖の生態系は大きく崩れ、ヴィクトリア湖を取り巻く環境は一変してしまったなりよ。周辺地域では食用として重宝されるナイルパーチの加工業が発展し、ヨーロッパや日本などの「北側」の諸国へと運ばれるようになるなりが、現地では資本家だけが潤うため貧富の差が開き、貧困が犯罪を招くことになるなりね。北側の諸国が富を搾取して、南側の諸国には再分配されない。いわゆる「南北問題」が集約されたヴィクトリア湖周辺の実情を切り取ったドキュメンタリー作品なり。

「ダーウィンの悪夢」は2004年のヴェネチア国際映画祭ではヨーロッパ・シネマ・レーベル賞を受賞したほか、世界中の映画祭で数々の賞を受賞している、非常に評価の高い作品なりね。公開は12月からの予定。

「ドキュメンタリーはとっつきにくい」という人も少なくないなりが、良質なドキュメンタリーが増えている今こそ、その扉を開いてみるチャンス。機会があればぜひ、劇場に足を運んでみてくださいなり。

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