「タリーズ」を買収した伊藤園、ブランド活用で「お茶」依存脱却へ。

2006/10/26 12:05 Written by コ○助

このエントリーをはてなブックマークに追加


いわゆる「シアトル系カフェ」の中ではスターバックスコーヒーに次ぐ人気とブランド力、店舗網を持つタリーズコーヒー。日本での展開は、1995年に友人の結婚式に参列するために渡米した松田公太氏(フードエックス・グローブ社長)が、現地で飲んだタリーズコーヒーに感銘を受けたのがきっかけ。面識のないタリーズの創業者トム・オキーフ氏にアポイントも取らずに会いに行き、口説き落とすことに成功したというエピソードは、いまや語りぐさとなっているなりよ。そして東京・銀座の1号店から、わずか9年で約300店舗を抱える大チェーンに成長。ライバルのスターバックスのような矢継ぎ早な出店方針を採らず、ゆっくりと、でも着実に店舗数を伸ばしてきたなりね。

ただ、近年は激しい競争の中で業績を悪化させており、2006年3月期の売上高は120億円、営業利益は34億円の赤字に。一部では身売りや経営危機の噂も出ていたなりが、24日、電撃的に伊藤園による買収(フードエックス・グローブの発行済株式の36%を48億円で取得)が発表されたなりよ。一時は米国のタリーズを買収して、米国のナスダック市場に上場するという青写真を描いていたフードエックス・グローブなりが、伊藤園のもとで再出発を図ることになったなりね。

では、伊藤園にとってフードエックス・グローブの買収はどのような意味があるのか。その答えは明快で、「緑茶飲料以外の事業育成」が目的。伊藤園は主力商品の「お〜いお茶」を武器に、緑茶飲料の市場で30%超という最大手のシェアを獲得しながら、ほかの事業があまり良い結果を出していないことが大きな悩みだったなりね。「売上高全体に占める緑茶飲料の割合は45%に上り、続く野菜飲料が13%、コーヒー飲料は6%」(フジサンケイビジネスアイより)で、完全に「緑茶」に依存した経営体質。近年、緑茶飲料市場は激しい競争が起きていることから、ほかの事業育成が急務だったなりよ。そんなタイミングで、フードエックス・グローブと伊藤園の思惑が合致したなりね。

具体的に伊藤園がフードエックス・グローブの資産を活かす方法として、ひとつ検討されているのはタリーズのブランドを冠したチルドコーヒーの本格展開。実はタリーズはすでに「タリーズ・フルシティ・ロースト」シリーズというチルドコーヒーを首都圏のコンビニ向けに展開していたなりが、これを製造していたのは小岩井乳業と四国乳業で、販売元はタリーズコーヒージャパンだったなりよ。今後は伊藤園が中心となり、その販売網を駆使して全国に展開していくことになりそうなりね。

もうひとつは、フードエックス・グローブがタリーズと共に展開している緑茶カフェのクーツグリーンティー。同じ緑茶を軸にした事業を手がけているため、相乗効果が期待されるなりね。また、クーツグリーンティーはまだ店舗数は少ないものの、すでに米国にも進出を果たしており、伊藤園の資本を背景にさらなる出店攻勢も期待できそうなりよ。

伊藤園の傘下に入ることで、財務体質が改善されるであろうフードエックス・グローブ。これからのタリーズやクーツグリーンティーなどの新展開に期待したいところなり。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.