日ハム・新庄外野手の引退撤回を求め、鹿児島の男性が日本縦断。

2006/10/25 23:58 Written by コジマ

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25日の第4戦で日本ハムが勝利を収め、日本一まで王手をかけた日本シリーズ。今年は日本ハムが北海道移転以来初のリーグ優勝や金村曉投手の復帰など、北海道ではかつてないほど盛り上がっているようなのだ。その熱をいっそう高めているのが、新庄剛志外野手の引退。阪神ファンのぼくとしても彼の引退はとても残念なのだ。

そんな新庄外野手の引退撤回を求め、鹿児島から自転車などで日本縦断して札幌にたどり着いた男性がいるのだ。9月2日に出発し、到着したのが10月19日。その旅は、自転車の盗難、事故など困難を極めたようなのだ。

この27歳の男性は、新庄外野手の現役続行を望む野球少年の言葉をきっかけに、引退撤回を求める署名を集めながら、自転車で札幌に行く計画を立てた。集めた署名を新庄外野手に渡すため、レギュラーシーズンの最終戦が行われる9月27日に約2500キロ離れた札幌へと到着できるよう、派遣社員として務めていた工場を辞め、25日間毎日100キロ走破の計算で9月2日に出発した。

ところが、広島県内に入った9月10日、インターネットカフェの駐車場に止めていた自転車を盗難されてしまう。持っている予算は10万円。新しい自転車を買うことはできない。普通ならここであきらめてしまいそうだけど、なんとこの人、徒歩で札幌目指して進みだしたのだ。

しかし、徒歩では思うように進まない。札幌に到着予定日だった9月27日、彼は滋賀県にいた。このままでは日本シリーズすら終わってしまう。そんな頑張る彼に、周りの人が黙っていなかった。滋賀県内で知人が普通のシティサイクルである「ママチャリ」をプレゼント。そこで彼は猛然と走りだし、日本ハムのリーグ優勝が決定した10月13日の翌日には福島県に到着。そこでさらに、知人から長距離用のロード自転車を渡される。「これなら間に合う」そう思ったのもつかの間、さらなる悲劇に襲われたのだ。

ロード自転車を手に入れてスピードを上げた2日後、宮城県気仙沼市内で軽トラックに衝突して全身打撲の重傷を負ってしまう。気持ちが焦ったのか、かなりスピードを出していたようなのだ。自転車は前輪が破壊され、本人も松葉杖なしでは歩けない状態に。

しかし、彼はそれでもあきらめなかった。入院を勧められたが断り、事故の当事者である軽トラックの運転手が「鹿児島までの交通費を負担する」と申し出ると、この男性は「それなら札幌までの交通費を!」と懇願し、交渉成立。電車を乗り継いで見事札幌に到着したのだ。

予定から遅れること22日、こうした苦労が報われたのか、運良く日本ハムは日本シリーズに出場していた。10月24日には、札幌ドームで行われた第3戦を観戦。内野席から新庄外野手を応援したそうなのだ。もちろん希望は札幌での優勝。11月に行われる予定の優勝パレードまで、札幌市内でアルバイトをして過ごすつもりなのだとか。

ぼくも24歳の時に自転車で東京から京都まで行ったことがあるのだけど、平坦な道ならいざしらず、山あり谷ありでの1日100キロは本当にキツい。特に箱根は帰ろうかと思うほどつらかったのだ。「いい年して」という意見もあるだろうけど、ぼくの走破した距離の3倍以上、さらにこれほどのトラブルに遭いながらも敢然と目標を達成したこの男性に、心から拍手を贈りたいのだ。

ぼくは自転車旅行の最中に就職が決まったのだけど、この男性も、帰る頃にはよい就職先に出会えるかもしれない。それにしても、明日の第5戦に中日が買って舞台がナゴヤドームに移ったらどうするんだろうか。

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