理想のパリと違う? 旅先で途方にくれる観光客に仏が注目。

2006/10/25 14:45 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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正直に申しまして、ウォール真木は旅行が苦手。荷造りなどが嫌いでギリギリにならないと準備しないし、知らない場所に行くという不安もある。そして一番ナーバスになってしまうのが、娘たちが移動中に退屈してグズらないか……ということ。まあ、大体が杞憂に終わって結果的には楽しい時間を過ごすのですが、日常生活から離れる旅行というものは、良くも悪くも多少なりにストレスを感じるものでございます。

さてその旅行で引き起こされる心の動揺。心理学でも注目される分野なんだそうです。お洒落で流行の中心である「ハズ」のパリに暮らし始めるも、現地の習慣や文化になじめず、さらに思い描いていた理想の地とは違う現実に呆然としてしまい、うつ病に近い状態に陥ることを「パリ症候群」というそうですが、この「パリ症候群」は観光客の間にも存在すると、専門誌などで紹介されたこともあるそう。

なんでもフランスの新聞「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」誌によると、観光旅行でパリを訪れる日本人のうち、心に描いていたパリと現実との落差にショックを受け、心理的な治療を必要としている人がうるとのこと。同誌の記事によると毎年12人ほどが現地の精神科医にかかるまでになり、その症状はすぐ回復するものから、様々な妄想を伴う重症なものまで様々。この結果、日本大使館でも毎年数人の日本人観光客を本国に送還するまでなんだとか。ううむ、気の毒に。

それにしても今回、世界に誇る観光地としてパリを自慢に感じているであろうフランスの新聞が、あえてこの症候群に着目したのはさすがだと思います。しかし、もちろんこういった症状が出るのはパリだけに限らず、慣れ親しんだ日常生活とかけ離れた土地でなら、本当に世界中どこでもあり得ますよね。まだまだ報告例は少ないかもしれませんが、旅行に行く人はそれなりに、こういった症例が起こりえるということを気にしてみるのも、なんらかの予防になるかも、そして近い将来旅行ガイドなどに「買い物ホット・スポット」、「ホテルの選び方」といったTipsに加えて、「パリ症候群にならないために」といったガイドラインが掲載されるようになったら、役立つんじゃないかと思ってみたり。

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