中日優勝を支えた動作解析ソフト「ダートフィッシュ」とは。

2006/10/12 23:15 Written by コジマ

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今季のセ・リーグは白熱した首位攻防戦が繰り広げられ、「やっぱりプレーオフはいらないんじゃないか」と思わせるほど盛り上がったのだ。阪神ファンのぼくとしては、9月16日の阪神−中日直接対決で山本昌投手にノーヒットノーランを達成されたときに阪神の優勝を諦めたのだけど、その後の猛追はご存じの通り。プロ選手の真剣な姿は、やっぱり見ていて楽しいのだ。

そんな激しい攻防の末に栄冠を手にした中日。優勝時のインタビューで見せた落合博満監督の涙は感動的だったけど、優勝を陰から支えたソフトウェアがあるそうなのだ。そのソフトとは、中日が2年前に導入したもので、名前を「ダートフィッシュ」という。いったいどんなソフトなのだろうか。

ダートフィッシュは、2002年のソルトレークシティ冬季五輪でも話題になった、スイスのダートフィッシュ社が開発した動作解析ソフト。撮影した映像から角度や距離、時間が計測できるだけでなく、動きの軌跡まで見られるものなのだ。陸上競技から水泳、球技などありとあらゆるスポーツ(もちろん、スポーツ以外にも)に応用でき、ある水泳コーチのブログでは実際に使用している様子が掲載されているのだけど、飛び込みの際の角度や入水地点までの距離、着水までの時間などを記録して、選手の指導に利用しているのだ。

このダートフィッシュを、中日がどうやって利用したのかというと、手首や肘の角度、フォームなどが重視される投手の練習。映像が何枚も重ねられる機能を使って、他の投手が変化球を投げる際の手首の位置や角度などを、自分のフォームに重ねて違いを研究していたのだそう。ナゴヤ球場屋内練習場の一室に設けられた動作解析室は連日、多くの投手でにぎわっていたようなのだ。

昨季オフにサイドスローへとフォームを変更し、貴重なワンポイントリリーフ左腕となった小林正人投手もその1人。現在もダートフィッシュを使った研究に余念がないようで、スライダーは阪神のJFKの一角を担うジェフ・ウィリアムス投手らをお手本にしているとのこと。

中日はダートフィッシュ導入が功を奏し、導入前の2004年のチーム防御率3.86に比べて、今季は3.09にまで向上。しっかりとその効果が表れているのだ。こうしたソフトの導入によって、練習熱心になった選手が増えたことも一因なのかもしれない。

今や、スポーツはコンピュータを導入して科学的に解析する時代。ID(データ)野球も重要だけど、これからは“IT野球”なのだ。そういえば、昨季に阪神が優勝した際に、ベンチに大豆ペプチド飲料を置いて好きなように飲ませたら、選手の疲労度が低くなったというニュースを見た。こうした科学的なことも積極的に取り入れたチームが強くなるのかも。

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