プロ野球で本塁打ビデオ判定の試験導入決定、来季オープン戦で。

2006/10/02 22:47 Written by コジマ

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今年のワールドベースボールクラシック(WBC)2次リーグ初戦の日本−米国で起きた誤審問題。勝敗を左右するような場面でのことだったので、日本だけでなく米国のメディアでも大きく取り上げていたのだ。

こうして日本中でかなりクローズアップされたWBC誤審問題だけど、プロ野球でも日常的に起こっているはご存じのとおり。今年は特に多く、判定に憤慨した広島のマーティ・ブラウン監督がファーストベースを投げたり、阪神の矢野輝弘捕手が退場させられたりと、判定を巡るトラブルがひっきりなし。ついには、ヤクルトの古田敦也監督が正確なジャッジを求める要望書を、巨人の清武英利球団代表も誤審の証拠映像とともに抗議書を提出。その際に、誤審を認めることとビデオ判定の導入を求めていたのだ。

こうしたことを受けて、日本プロ野球組織(NPB)は2日、来季のオープン戦で判定の補助にリプレー映像を試験導入することを決定した。映像は試合中継のものを使用し、グラウンドの外で控え審判が判断するとのこと。ただし、使われるのは本塁打の判定だけなのだ。これなら誤審の確率は急減しそうだし、一度下した判定をWBCのように覆すのはよくないことだけど、「ビデオ判定の結果、こういうことになりました」とすれば、審判の面目も少しは保てそう。

あくまで試合に出場している審判では判定できない際の補助資料で、本塁打が放たれるたびにいちいちリプレー映像の確認をするわけではない。また、映像設備が整ってない球場や全試合中継されていない球団があるため、導入される試合は限定されるそうなのだ。「本塁打に関して」とはいっても、両翼のポール際を写していればいいというものではなく、先述の清武代表が抗議した判定が李承ヨプ内野手が本塁打を放った際に小関竜也外野手が三塁ベース踏んだか踏んでないかだったように、本塁打に関して球場全体を捉えている映像でなくては意味がないのだ。

NPBは、ビデオ判定だけでなく、審判の根本的なレベルアップのために新評価制度や競争原理の導入を検討しているとのこと。特定の球団のファンでなくとも審判に対して言いたいことは一言二言どころではないだろうけど、今年5月に上本孝一審判員が43歳の若さで急死したり、こちらも43歳と若い元阪神の渡真利克則審判員が球審を務めていた試合中に倒れるなど、審判の負担は軽くないのだ。ビデオ判定の導入は、監督や選手だけでなく、審判にとっても救いとなるのかもしれない。

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