実験的な手法により、UK音楽シーンで確固たる地位を築いたレディオヘッドのフロントマン、トム・ヨーク。今年7月に発売された初のソロアルバム『ジ・イレイザー』もおおむね好評で、先日お伝えしたマーキュリー賞では受賞こそ逃したものの、ソロならではのポップな音楽性（レディオヘッドと比べてだけど）を披露しているのだ。そんなトム・ヨークが、なんと、日本のテレビ番組に出演することが決定したのだ。出演するのは音楽番組ではなく、9月29日放送のTBS系ニュース番組「筑紫哲也 NEWS23」。第2部に当たる「金曜深夜便」で、膳場貴子キャスターによる地上波初の対面インタビューが放送されるそうなのだ。

レディオヘッドはメンバーのほとんどが大卒というインテリバンドで、それだけにこれまで多くの社会問題に対するキャンペーンに関わってきた。ブライアン・イーノの呼びかけによるユーゴスラビアの内戦によるボスニア戦災孤児救済を訴えたチャリティー・アルバム『ヘルプ』を皮切りに、チベットの独立問題や地球温暖化、自殺予防団体など非常に幅が広い。2003年には米ブッシュ政権に対する痛烈な批判を込めたアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』をリリースしているし、先日も公式サイトにブレア英首相に対して「今すぐ辞任すべき」という声明を掲載しているのだ。

そのなかでも、最貧国が抱える返済不能の債務を帳消しにしようとする運動「ジュビリー2000」への参加によって、トム・ヨークと日本の交流が深まった。もともと日本語を勉強していたというトム・ヨークは、活動休止中にもかかわらず、音楽誌「スヌーザー」に音楽と切り離してこの運動の支持を呼びかける特集を持ちかけたのだ。今回の「NEWS23」への出演は、番組に深く関係し、「ジュビリー2000」にも参加していた坂本龍一の働きかけによるものなのかもしれない。

こうした社会問題に造詣の深いトム・ヨークなだけに、「NEWS23」の方向性も考えると音楽の話題は期待できなさそう。とはいえ、インタビュー映像が少ないだけに、今回の放送はかなり貴重なものになりそう。放送時間は29日（30日）の深夜0時20分より。お見逃しなく。しかし、オリコンの調査によると、日本でのトム・ヨークの認知度は、20代男性以外ではすべての年代・性別で10％以下。20代男性でも10％を少し超えている程度なのだ。今回の放送でちょっとは有名になるかな。