“三者一体のメリット”を実現、「東京ガールズコレクション」成功を分析。

2006/09/18 23:59 Written by コジマ

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日本最大の女性向け携帯ファッションサイト「ガールズウォーカー」(ゼイヴェル)主催のファッションショー&ライブイベントの「東京ガールズコレクション」。今年3月の第2回に続いて、今月3日に開かれた第3回も大盛況だったようで、今や本家のファッションショーである東京コレクションや日本ファッション・ウィークよりも注目度が高くなっているそうなのだ。昨年8月に始まり、短期間で急成長を遂げた秘密を、毎日新聞が関係者のコメントから分析しているのでご紹介を。

月間アクセス数30億ページビュー(PV)という「ガールズウォーカー」の5周年記念として始まったイベントである「東京ガールズコレクション」は、昨年8月の第1回からかなりの話題を呼んでいたのだ。その目玉はなんといっても、蛯原友里や山田優、押切もえといったアイドル化した女性誌のモデルが勢ぞろいするということ。憧れのモデルが一堂に会し、それが間近で見られるというのは、一般人が入れない今までのファッションショーとは一線を画しているのだ。しかも、ショーで着ている服は、パリコレや東コレのようなモード的で実験的な服ではなく、日常的なストリートファッションというところも消費者を引き付ける理由だろう。これについて、ゼイヴィルの大浜史太郎社長は「パリコレなどのモードとは対極のビジネスを作りたかった」と語っている。モデルがショーで着ている服がその場で買えるというのも、非常に斬新なのだ。

イッセイ・ミヤケの太田伸之社長は、欧州と違って階級のない日本では大衆がデザイナーの服を買うと分析。「東京ガールズコレクション」は、敷居を低くすることによってこの特殊なマーケットに合ったショーを作ることに成功したとしているのだ。英ファッション誌編集者のエリカ・クリハラさんも、「こうしたイベントができること自体が、日本的で面白い」としている。欧米の庶民層は、日本の女性ほどファッションに関心がないようなのだ。太田社長は「80年代のクールで小難しいデザイナーズブランドのやり方を、東京は今も引きずっている」と今の閉塞している業界に苦言を呈し、「人気モデルが出ているからうんぬんではなく、会場の観客がみせる熱い視線に、業界に携わる者として『ガールズ』を正当に評価しないといけない」と斬新さや革新的な部分は認めているのだ。しかし、「あくまでビジネスの場所なので、東コレに一般客を入れるというのは別の話」とし、これからも逆の立場で一線を画していくようなのだ。

一方、「東京ガールズコレクション」は時代のニーズにすべて応えていると分析しているのが、ファッション専門誌「WWDジャパン」の山室一幸編集長。成功の理由として、
・作り手よりも着る人がクローズアップされ、それが購買につながるというスーパーモデルブーム
・「カワイイからいいじゃん」と、高級ブランドもスポーツウェアも同列に着こなすギャル感覚
・デザイナー、ブランドの“権威”よりも「モテが大事」という女性誌の台頭
・携帯電話による購入ルートの開拓
といったものを導入していることにあるとしている。さらに、同編集長は「参加する企業も明確なターゲットに商品やイメージを遡及でき、観客も楽しい。主催者も含め三者一体のメリットを実現する、新しいシステムを作ったと言ってもいいでしょう」とベタ褒め。新しいこと、楽しいこと、便利なことを貪欲に取り入れていく姿勢は、新しいものを追いかけているようで旧態依然とした業界では珍しい存在であることが浮き彫りとなっているのだ。今、男性ファッション誌ではスタイリストが注目されているそうだけど、これも作り手よりも見せるほうの立場の人間がクローズアップされていることの表われなのかも。

今回は人気モデル60人のほか、南海キャンディーズのしずちゃんがバスローブ姿で登場したり、桜塚やっくんがセーラー服で出てきたりなど、こうした部分でも話題性のあるものを貪欲に取り入れているさまが分かるのだ。また、ファッションショーとともに多くの観客を呼んでいるのが人気歌手によるライブ。今回はBoAやSoweluがステージを披露したのだ。

一方で、モデルに夢中になるあまり服を見ていないという来場者も。これまで人気モデルが着た服だけ売れる現象が起きたため、今回は「ブランドが主役」という方針を打ち出したのだけど、このままでは単なるイベントと化してしまい、ファッションショーの本来の目的を果たせなくなってしまうのだ。とはいえ、第3回は前回を上回る約2万500人が来場し、欧州の通信社や韓国、台湾の報道陣も取材に訪れるなど、注目度は上昇する一方。ファッション業界に新風を吹き入れた「東京ガールズコレクション」、今後の展開に注目なのだ。ちなみに、10月には姉妹イベントの「渋谷ガールズコレクション」を開催するのだそう。対象年齢は10〜20代。幅広い年齢層に浸透させていく目論見なのだ。

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