日本橋の景観を取り戻したい、高速道路地下化案を提出。

2006/09/15 23:59 Written by コジマ

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先日もコ○助がベストショットで欄干にある「麒麟」像を紹介した東京都中央区の日本橋。江戸時代から五街道の起点として重要な橋であり、今でも多くの江戸っ子に愛されているのだ。現在はその真上に架けられている首都高速道路によってとても閉塞感のある場所になってしまい、かつての景観を懐かしむ人たちも少なくなかったのだ。そこで近年取り上げられているのが、高速道路を地下に埋めようという案。景観が復活するだけでなく、経済効果や気温の低下とかなり良い効果が得られるとされているのだけれど、こうした再開発の提言を「日本橋川に空を取り戻す会」がまとめ、小泉純一郎首相に提出したのだ。経済効果は3兆円にものぼるが、整備費に5000億円もかかるという。

江戸時代から五街道の起点として存在し、現在でも国道の「東京から○キロ」という表示の基準となっている日本橋。架けられたのは徳川家康が江戸幕府を開いた1603年で、奈良や京都の建造物に対しては新しいものの、歴史の浅い都市である東京にとってはとても重要な存在なのだ。かつては木製の橋だった(両国にある江戸東京博物館で模型が見られる)のだけれど、1911年に現在の石造の二連アーチ橋に架け替えられたのだ。その日本橋が架かる日本橋川に高速道路が設置されたのは、東京五輪が開催された1964年。高度成長に沸いているさなか、景観を考慮するよりも、便利さが優先された結果だったのだ。

そのため、往事の情景を知る人たちにとっては、この景観を破壊する高速道路に対して忌々しい気持ちを抱く人も少なくないようなのだ。詩人の故・田村隆一もエッセイで嘆いていたし。こうした声に、高速道路を地下に埋設する案が数年前から提言されており、ここに来てようやっと実現しそうなのだ。その経済効果は1兆8000億〜3兆1000億円というから、政府も無視できない。

しかし、こうした案に石原慎太郎都知事を筆頭に反対する意見も多いという。その原因は、4000億〜5000億円かかるという整備費。この辺をどう捻出するかが議題にのぼっているのだ。国の税金ですべて賄うのは、他県の人は反対しそうだし、かといって都民が全額負担するというのもちょっと違う気がするし……。

日経BPが行った調査によると賛成の意見のほうが多いという結果も出ているし、提案から具体案提出へと進んでいるところをみると、整備は近い将来確実に行われるのだろう。経済効果が望める周辺企業に整備費を捻出してもらう案も出ているようで、こうした費用面をクリアしてから着工してほしいのだ。江戸時代、時代小説好きのぼくとしても、日本橋の上の空が見てみたい気がするなあ。

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