英国最高権威の音楽賞、2006年マーキュリー賞発表。

2006/09/06 23:04 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


英国で最も権威のある音楽賞、マーキュリー賞の2006年度の受賞作品が5日に発表されたのだ。毎年UK/アイルランドの最高のアルバムに贈られる同賞、今年はレディオヘッドのシンガー、トム・ヨークのソロ・デビュー作やミューズの第4作、アークティック・モンキーズのデビュー作などがノミネートされるなか、栄冠を手にしたのはどのバンドだったのか……。

「英国最高権威の音楽賞」というと「英国版グラミー賞」といわれるブリット・アワードを思い浮かべる人も多いだろうけど、英国の音楽ファンが最も熱い視線を注いでいるのは、今回発表されたマーキュリー賞。正式名称は「ネイションワイド・マーキュリー賞(Narionwide Mercury Prize)」といい、賞の名前は創設時のスポンサーである通信大手の英マーキュリー社に由来。スポンサーが金融大手の英ネイションワイド社に変わった現在でも、通名はマーキュリー賞となっているのだ。

1992年に始まった同賞の特徴は、受賞作品が1つであること。多くの部門賞を設けている英米各賞に対するアンチテーゼともいわれ、さらに、セールスや知名度、ジャンルにかかわらず良質な作品を表彰することからも、英国の音楽ファンから熱烈な支持を得ているのだ。最も受賞する可能性が高い作品が選ばれないといわれる同賞は、その半面、過去にプライマル・スクリームの大傑作『スクリーマデリカ』やパルプの『ディファレント・クラス』などが受賞しており、当時の評価以上に長期的に見て傑作とされる作品を取り上げることでも有名なのだ。ちなみに、04年はフランツ・フェルディナンドの『フランツ・フェルディナンド』、昨年はアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの『アイ・アム・ア・バード・ナウ』が選ばれている。

さて、今年のノミネート作品は、

・ギリーマッツ 『Through the Windowpane』
・リチャード・ハーレイ 『Coles Corner』
・ホット・チップ 『The Warming』
・エディターズ 『ザ・バック・ルーム』
・Isobel Campbell & Mark Lanegan 『Ballad Of The Broken Seas』
・トム・ヨーク 『ジ・イレイサー』
・Lou Rhodes 『Beloved One』
・ミューズ 『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』
・Sway 『This is My Demo』
・Scritti Politti 『White Bread Black Beer』
・Zoe Rahman 『Melting Pot』
・アークティック・モンキーズ 『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』

の12作品。トム・ヨークやミューズ、アークティックなどの有名どころはもちろん、ギリーマッツやエディターズなどの新人や、元ベル・アンド・セバスチャンのイザベル・キャンベルとクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのマーク・ラネガンがタッグを組み一部で話題になっていたIsobel Campbell & Mark Lanegan、ラムのシンガー、Lou Rhodesなどが選ばれているあたりは、マーキュリー賞の面目躍如といった感じなのだ。

さてさて、引っ張りすぎたけれど、今年の受賞作品は、NMEアワードで3部門を制覇した驚異の新人、アークティック・モンキーズの『ホワットエヴァー・ピープル・セイ〜』に決定したのだ。最近はベーシストが脱退し、代役を正式メンバーとしたところ「やっぱり戻りたい」とアピールするなどちょっとゴタついた感があったけど、今年のサマーソニックでも来日し、多くの人がその実力を確認したのではないだろうか。

このマーキュリー賞の受賞によって、アークティックのアンチ派も黙らずにはいられない。ハイプから本物へ。彼らはビートルズやオアシスのような英国を代表するスーパー・バンドになっていくのだろうか。受賞ライブのもようは、8日の午後11時35分(英国時間)から、BBC2で放送される。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.