各地のイベントで引っ張りだこ、「サバメシ」が静かなブーム。

2006/08/29 23:57 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


みなさんは「サバメシ」をご存じだろうか。多くの人がそうだと思うけど、ぼくは産経新聞の見出しを見た瞬間、「サバメシ」を「鯖飯」に脳内変換し、焼いた鯖をほぐしてご飯に混ぜたものを想像してヨダレが出そうになったのだ。ところがこの「サバメシ」は、「サバイバル・メシタキ」の略。アルミ缶と牛乳パックだけでご飯を炊くという、アウトドア好きにはもってこいの炊飯方法なのだ。相次ぐ世界的な災害により防災意識が高まっている昨今、この「サバメシ」が静かなブームになっており、発案者の講習が各地のイベントで引っ張りだこになっているという。

「サバメシ」を開発したのは、茨城県つくば市にある防災科学技術研究所の研究員、内山庄一郎さん。地滑りの研究が専門で、2004年に起きた新潟県中越地震でも調査のために現地入りしたのだそう。いかに災害関連の仕事をしているとはいえ、「サバメシ」の研究は専門外。内山さんはなぜ「サバメシ」研究に情熱を燃やすことになったのか。

新潟県中越地震で現地入りした際、ガスや電気が遮断された状態で内山さんが試したのが、防災関連本に掲載されていたアルミ缶でご飯を炊く方法。しかし、これがどうやってもうまくいかない。これでは災害時に役に立たないと、内山さんの防災科学技術研究所魂が燃えたのかどうか定かではないけれど、この失敗から半年、本業の合間を縫いつつ研究に没頭し、かなりの失敗を繰り返した末に、誰でもできるアルミ缶と牛乳パックでご飯を炊く方法を開発したのだ。

この「サバメシ」で使うのは、350ミリリットルのアルミ缶2本と、1リットルの牛乳パック3本、アルミホイル10センチのみ。もちろんお米や水、軍手やライターなども必要だけど、内山さんは「好奇心と少しの忍耐」も必須だとしている。

まず、1本のアルミ缶(コンロになる缶)のフタを缶切りで切り取り、カッターやハサミなどで空気穴を開ける。この穴が重要で、大きすぎると缶が熱で溶けやすくなり、小さすぎると不完全燃焼で煙もくもく状態になってしまうのだそう。内山さんが試行錯誤を重ねた結果、3×1.5センチがベストなのだとか。

次に1リットルの牛乳パック3本を開いて、幅1〜1.5センチの短冊状に切っていく。これが燃料になるのだけど、牛乳パックは純度の高いパルプにポリエチレンが塗布されているので、「サバメシ」にとって手軽で理想的な燃料なのだとか。素材が同じなら500ミリリットルのものでも大丈夫だそうで、その際は重さ100グラム分を用意する。

続いて、鍋になる缶に米0.8合とその1.1倍の水を入れ、アルミホイルでフタをする。蒸気が漏れないようにしっかりとフタをするのがコツだそう。災害時を想定しているので、お米は洗わないで入れることを推奨している。

この準備を経て、コンロ缶へ牛乳パック燃料を投入し炊飯する。強い炎を維持しながら燃料を投入し続け、約25分で炊き上がるそうなのだ。電気炊飯器ではなかなか味わえない香ばしい「おこげ」もしっかりとできるという。

内山さんは国際サバメシ研究会を発足し、「サバメシ技術指導員認定証」(国際A〜C級)も発行している。公式サイトでは、写真付きで「サバメシ」の方法を詳しく説明しているのだ。

災害時だけでなく、小中学生の体験として最適な「サバメシ」は各地の防災イベントでも引っ張りだこだそうで、茨城県守谷市議会の土田敦司議員のブログでも紹介されるなど、静かなブームとなっている。夏休み最後の思い出として、「サバメシ」に挑戦するのも面白いかもしれないのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.